イタズラをしたのは私?
これは、私が中学生の頃の体験話。
ある時、友人が「ヤバい、漏れそう。そこの先生用のトイレ行ってくる!」と言って入ってしまった。
学校では先生用のトイレに生徒は入れないお約束だったので、生真面目な私は外で待っていることにした。
そして出てきたところを驚かそうと、柱の陰に隠れてトイレの様子を伺っていた。
しばらくして友人は戻ってきた。
驚かそうと「わっ!」なんてやったが、友人はノーリアクション。
さらに不機嫌でこう言う。
「ああいうイタズラ、やめてよ」
私は「えっ?」となった。
「トイレのドアをコンコン叩いたでしょ。声かけても返事しないし」
私は先生用のトイレに入っていない。
それに、友人が出てくるまで誰も入っていない。
「人が入ってなければドアは開いてんだから、わざわざノックするなんて絶対あんたのイタズラでしょ。それに、ドアの隙間から見えたんだから、黒い影。あんたのカーディガンの色みたいな」
私ではないと訴えたが取り合ってもらえず、あまりの不可解さに、しばらく私はガクガクと震えていた。
でも大人になった最近、こう思える。
あれは私だったのかも、と。
なぜなら私はその時、本当は中に入って「コンコン」とイタズラしてみたかったのだから。
(終)