自殺の名所で毒づいた直後に
これは、地元にある『自殺の名所』と言われている場所での話。
昨日のこと、どうしても眠れなくて3時頃まで起きていた。
ちょうどタバコも切れたので、買いに行こうかと外へ。
だが、家から歩いて1分もかからない所にある自販機は愛用しているタバコだけ売り切れになっており、他のものを吸うのも嫌だったので、少し遠い自販機までバイクで行くことにした。
ちなみに、他にも近くに自販機はいくつかあるのだが、求めるタバコは売っていない…。
そこはバイクで5分ほどの所なのだが、途中で橋を渡らなければならない。
そしてその橋が、いわゆる自殺スポットと言われている名所だ。
実際に自殺があったのは5件くらいだそうだが、田舎だから本当か嘘かわからない噂も広まっており、不気味そのもの。
そんな橋を、行きの時にはまだ車が数台走っていたので安心していたが、帰りには1台の車も通らず、ただ虫の鳴き声だけが響いていた。
その状況があまりに怖すぎて、つい「こんなところで自殺すんなよ、迷惑だろ」と呟いてしまった。
その直後、橋の下から風の音なのか人の声なのか、何かわからない音がとてつもなく大きく「オォォォォォォ!!」と響き渡った。
もちろん家まで無我夢中にバイクを走らせたのは言うまでもない。
たった5分の道のりが、1時間くらいに感じた。
家に着いた途端、家中の鍵という鍵を全て閉め、明かりも全てつけて、落ち着くために一服する。
ふと携帯を見ると、不在着信が28件入っており、全て非通知だった。
本気で泣いて、本気で謝った。
次の日、その橋まで行き、花を添えてもう一度謝った。
(終)