お供え花が絶えない縁起の悪い橋 3/3

お供え花

 

ツーッ、ツーッ、ツーッ・・・

 

繋がらない。

 

というより、

呼び出し音さえ鳴らないということは・・・

 

画面を確認。

 

『圏外』の表示。

 

はぁ!?

 

(じゃあ何でさっき俺は友人と・・・)

 

ピリリリリリリ!!

ピリリリリリリ!!

 

今度は友人から着信である。

 

何だ、この未体験ゾーンは・・・

 

「もしもし?」

 

『ァアアアァアアァアアァァ!!』

 

絶叫。

 

友人の声ではない。

 

受話器から耳を離す。

 

それでも続く女の絶叫。

 

常人の肺活量では続かない長さである。

 

友人が無事ではないことを悟る。

 

「くっそー!」

 

今すぐ友人のもとへ行かねば、

取り返しのつかないことになる!

 

もう遅いかも知れないが・・・

 

『ァアアアァアアァアアァァ!!』

 

プツリ。

 

絶叫が響き続ける携帯を切り、

 

俺は橋の反対側、

友人のもとへ走った。

 

欄干の側は通りたくないので、

 

歩道ではなく、

車道のど真ん中を疾走する。

 

数少ない街頭の間と間にある深い闇に、

 

何かが潜んでいそうで、

走りながら恐怖で気が狂いそうだった。

 

そして、

橋の中間点に差し掛かった時、

 

正面の暗闇から黒い影が、

凄い勢いで接近してきた。

 

!!!

 

友人を助けることなど一瞬で忘れ、

来た道をダッシュで引き返す。

 

(あの影は何!?

どれだけ奇襲かけてくるんだよ!)

 

走りながら涙と鼻水と

小便を垂れ流すような経験は、

 

後にも先にもこれが最後であってほしい。

 

影はまだ付いて来ており、

足音が聞こえるが・・・

 

「お~い!何で逃げんだよ(笑)

 

背後から友人の声である。

 

影の正体は友人であった。

 

門限をとっくに過ぎていたため、

 

怖いながらも意を決してこちら側に

走って来たそうである。

 

「いや、お前・・・

 

さっきの電話で来てくれ来てくれ

言ってたくせに・・・

 

しかも圏外で・・・

出たら絶叫って・・・」

 

今度は俺が激しくテンパる番であった。

 

「えっ?電話?

自転車のカゴのバッグの中だけど?」

 

コイツ、こんな状況で脅す気か?

とでも思ったのか、

 

不審そうな表情で答える友人。

 

(・・・え?だとすると・・・

俺が友人だと思って通話してたのは?)

 

それから俺達はトボトボと、

二人で歩いて帰宅した。

 

自転車を失い、

 

小便臭い俺と肩を並べて歩く友人が

不憫でならなかった・・・

 

疲れ切ったお互いに会話は無い。

 

夜道を歩きながら考える。

 

(もし・・・橋を渡りきっていたら、

 

一体、何が待っていて、

俺はどうなっていたのか?)

 

また小便を漏らしそうになった。

 

が、漏らす小便も既に尽きていた。

 

「ねぇ、あの橋ってさ、

昔からよくない噂とか歴史とかあった?」

 

後日、

 

俺は地元の地理と歴史に詳しい

爺ちゃんに訊ねてみた。

 

「あぁ、あの周辺は、コレなんだよ・・・」

 

爺ちゃんはそう言って、

親指を曲げて四本指を差し出した。

 

四ツ、四ツ脚・・・

 

かつてそう呼ばれた身分の人々がいたのを、

皆さんはご存知だろうか?

 

(今もいるが・・・)

 

まともな職に就けないそういった人々が、

当時どんな仕事をしていたか?

 

『四ツ脚』

 

つまり、

食用の家畜を扱う仕事の他に、

 

俺の地方では河原の「砂利拾い」が

主だったようである。

 

良質の河砂利は、

建設業者に高値で買取られる。

 

当然、骨身を削って、

砂利拾いをする輩が現れる。

 

だが、

 

当時のそこはダムさえ無かった

流れの荒い河原で、

 

年間を通して水死者が多発したそうである。

 

その後、

 

ダムが建設され水量が安定したのを機に、

一つの橋が架けられた。

 

以上が爺ちゃんから聞いた話。

 

さらに不気味だったことが一つ。

 

あの日、

橋の上で拾った謎の紙。

 

それを、

俺も友人も知らず知らずのうちに、

 

ポケットに詰めて持って帰って

来ていたのである。

 

紙は二人で燃やして、

 

自宅の玄関と部屋には、

軽く塩を撒いておいた。

 

あの時から現在まで、

特に変わったことは何も無いし、

 

爺ちゃんの話していたことが、

 

橋の怪奇現象と関係しているのかも

わからずじまい。

 

とにかく俺も友人も、

 

二度と車以外であの橋に

行くことはなくなった。

 

(終)

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