もし生まれていたら

バイト先で休憩中に

お菓子を食べてたら、

 

大木さんという女性が

 

「あんまり寝てなくて眠たいねん」

 

と話し出しました。

 

夜中3時頃に突然、

一緒に寝ていた母親が起き出し、

 

部屋の電気を点けたそうです。

 

眩しくて文句を言うと、

 

母親は布団の上に正座したまま

両肩を擦り、

 

「ごめんなあ・・・

怖い夢やったから・・・」

 

と震える声で言いました。

 

見ると、

涙目になっていました。

 

大木さんの母親は、

 

頭痛がするほどの肩こりに

悩まされていたのですが、

 

それはこんな怖い夢だったそうです。

 

母親が一人で薄暗い道を

歩いていると、

 

遠くから黄緑色の

ベビー服を着た赤ちゃんが、

 

よったらよったら歩いて来た。

 

危なっかしいので、

しゃがんで待っていた。

 

近づくにつれ、

 

体は赤ちゃんなのに、

顔が成人男性。

 

母親の元へたどり着いた

その赤ちゃんは、

 

両膝に自分の手を置くと、

 

母親を見上げて、

こう言った。

 

「おまえ、肩こりが酷いんだろう。

 

それは、俺がこの先も一生、

肩に乗っているからだ」

 

大木さんの母親は、

 

流産も中絶も経験していたので

本気で怖かったらしく、

 

御祓い先を探してみる

とのことでした。

 

その話を友達にしたところ、

 

「・・・実は、うちのお兄ちゃんも

それに似た夢見たらしいねん」

 

と。

 

この話の方が、私には

インパクトが強かったので、

 

次にその話を書きます。

 

4年程前、

 

その子のお兄ちゃんの彼女が

妊娠したのですが、

 

お互いいつかは結婚したいと

思いながら付き合っていた。

 

しかし、当時の兄は就職活動中、

彼女も短大入学したてで、

 

「今は無理やよな」

「まだ時期早いわな」

 

と今回は見送りのような、

あっさりした感じで中絶したらしいです。

 

その後、2人はうまくいかなくなり

別れてしまいました。

 

しばらくして、彼女は

他の人と結婚したそうです。

 

そして最近、その兄が

こんな夢を見たのです。

 

公園で3歳くらいの女の子が、

一人でブランコを漕いでいる。

 

兄は普段から子供に

話し掛けたりしないが、

 

ごく自然に

 

「お名前なんて言うの?」

 

と話し掛けた。

 

髪がサラサラして目の大きな

可愛い子だった。

 

真正面から兄を見上げると、

 

「みくちゃん。

生まれてたらこうなってたの」

 

と言って、突然

大きくブランコを漕ぎ出した。

 

ブランコは垂直の高さまで上がり、

頂点で投げ出され、

 

逆さ吊りのようになったまま、

空へ吸い込まれていった。

 

その夢を見てからしばらくして、

 

兄は昔の彼女に

電話してみたそうです。

 

すると、

 

「実はおめでたで、

今5ヶ月やねん」

 

と。

 

とりあえずおめでとうを言い、

男か女か聞くと、

 

「まだ分からんねんけど、

 

女の子やったら未来と書いて

『みく』にしたいねん」

 

と彼女は言ったそうです。

 

自分が中学くらいの時から

 

女の子には絶対『みく』と

付けたかったのだと。

 

兄が自分の見た夢の話をすると、

 

彼女は電話の向こうで

黙り込んでしまいました。

 

結局、彼女には

女の子が生まれたのですが、

 

違う名前にしたそうです。

 

この話を聞いた時、

 

怖いというより可哀相と

思ったのですが、

 

後でじわじわ怖くなってきました。

 

(終)

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