亡くなったおばさんのお通夜の前に
当時、
夜の仕事をしていた俺は、
いつものように昼過ぎに起きて、
下の階に降りました。
すると、
両親が喪服を着て、
いそいそと準備をしていたので、
「誰か死んだの?」
と聞くと、
「○○のおばさんが亡くなったのよ」
と聞かされました。
この人は父の姉にあたり、
そう言えば、以前から
入院してた記憶があった。
小さい頃は、よく
このおばさんの家に泊まって
遊んでもらったもので、
俺たち兄弟は皆、
この人が好きです。
なので、俺は
「生きている間に何かして
あげれば良かったな」
とか、少し感傷に
浸ってしまいました。
それから俺は、どうしても
仕事を休めないので、
仕事に行く準備をして
ご飯を食べているところに、
弟が帰って来ました。
弟「あれ?どっか行くの?」
母「うん、△△(弟)もお通夜行くから
準備しておいで」
弟「お通夜?
ああ、それでか~。
さっき、エレベーターホールで
○○のおばさんに会ったんや」
父・母・俺「!?」
弟「どうしたん?
○○のおばさんも一緒に
行けばいいのにな」
当然、両親は強ばった顔で
言葉を失っていました。
俺「・・・で、何か喋った?」
弟「いんや、俺を見ながら笑ったまま
エレベーターに乗っていったで」
俺「・・そ、そうか・・・」
弟「あ、そうそう、
俺が喋りかけても
笑ってるだけやから、
何か怖いもんがあったけど、
誰か死んだからやな」
父・母・俺「・・・(冷汗)」
弟「それで、誰のお通夜に行くの?」
誰もその弟の問いに
答えることが出来ずにいると、
意を決して
父が説明しました。
最初は弟も信じず、
しかし嘘じゃないことが分かると、
黙り込んでしまいました。
(終)