肝試し中に亡くなったパパに会った
その日、子供会の肝試しがAの寺であって、青年団の俺とAは手伝いに参加した。
俺は明美さんとオバケ役。
明美さんは優太君の母親で、旦那さんを交通事故で亡くしている。
明美さんは白装束で口から血を垂らすメイクをしていて、本人もノリノリで少し着物をはだけさせ、「この方が雰囲気出る~」と言っている。
20代後半だが美人さんなので、その姿が非常にエロく感じて俺もAも鼻の下が伸びまくる。
蚊取り線香と懐中電灯を持ち、明美さんと配置につく。
Aが子供達に怖い話をして、いよいよ肝試しがスタート。
遠くでノリノリの明美さんが驚かす度に、泣き叫ぶ子供達の声が聞こえる。
最後の組が終わると同時に明美さんが俺の居る場所に来た。
明美「優太、泣いてなかった?」
そういえば、優太君が来ていない事に気付き、青くなる俺。
俺「来てない・・・」
明美「え?!だって、私の所は通ったよ?」
慌てて逆戻りしたが優太君はいない。
ダッシュでコースを全て捜すが、やっぱりいない。
半泣きの明美さん。
だが寺に戻ると、Aが優太君を抱きかかえていたのでホッと一安心。
明美さんは泣きながら優太君に話を訊く。
優太「ママの所を過ぎたらパパが居てお話してたの」
Aいわく、「本堂の裏で話し声がしたので行ってみたら優太が寝ていた」ということらしい。
明美「優太、パパ何か言ってた?」
優太「うん、ママのこと頼むよって言ってた」
この言葉で明美さんは号泣した。
A「お盆だしね。優太がいい子にしてるかなって会いに来たのかもね」
優太「違うよ。パパこれから復讐に行くって言ってたよ」
その場が凍りつく。
半月後に聞いた話では、旦那さんを死に追いやった交通事故の加害者の会社が、滞っていた慰謝料を全額振込んできたそうだ。
心から御冥福を祈ります。
(終)
胸アツな展開!