家まで送って欲しいと言われたが

学生の頃、

ファミレスでバイトしてまして。

 

夜の1時が過ぎ、

閉店作業も終わった頃、

 

同僚の女の子

二人からお誘いが。

 

「A君(俺)、このあと暇?

よかったら飲みに行こうよ」

 

「ええけど、どこで飲むよ?

この辺、飲み屋ないで」

 

「そやねぇ・・・、

どっかで買ってA君の家で!」

 

こ・・・これは、もしかして・・・!

そっちの・・・!?

 

「B君も一緒に!」

 

あぁ、なるほどね、

B君ね。

 

カッコイイもんね。

 

まぁ、彼とは

仲が良いけどね。

 

でもその日はあいにく、

Bの野郎は休みだったのに、

 

電話で呼び出せとの

ご命令を受けまして。

 

一先ず、

呼び出す事に。

 

1時間程で着くとの返答を受け、

 

とりあえず近くのコンビニで

買い物して帰りました。

 

家に着き、

 

早速、酒のアテを作れとの

命令を受けた俺は、

 

心に宿った殺意を

冷凍イカにぶつけていると、

 

「B君遅いねぇ・・・」

 

部屋のTVを眺めながら、

二人が呟いていました。

 

確かに、

 

時計は3時を過ぎていて、

ちょっと不安に駆られた俺は、

 

電話してみました。

 

しかし電話に出ず、

 

外の様子を伺いに出ようと

玄関に立った時、

 

ダン!ダン!ダン!ダン!

 

と、ドアが急に激しく

鳴り出しまして。

 

かなりビックリしたものの、

 

女の子の手前、

悲鳴を出すことは出来ず、

 

恐る恐るドアスコープを

覗いて見ると、

 

Bでした。

 

しかも、

かなり青ざめた顔をして。

 

「どないした?」

 

「・・・」

 

「まぁ、とりあえず入れよ」

 

家に入ったBは、

 

俺の布団に丸まったまま、

一言も発しません。

 

仕方なく女の子を家に送り届け、

Bが落ち着くのを待つ事に。

 

「・・・追っ掛けられた」

 

「ん?」

 

「・・・」

 

「何に?」

 

少しずつ、

Bが話し出したことは・・・

 

Bは約束通り、

家の前に来てた、

 

とのこと。

 

そしてバイクを停め、

俺の部屋に行こうとした時、

 

後ろから女の人に

声を掛けられた。

 

その女の人は、

 

「自分を家まで送って欲しい」

 

と言ってきたが、

 

気味悪く感じたBは、

それを丁寧に断った。

 

しかし、その人は

しつこく言い寄ってきて、

 

挙句にBの腕を掴み、

バイクに乗ろうとした。

 

「ええ加減にせいや!」

 

と、Bがその手を

振り解いた瞬間、

 

その女の人の上半身だけが、

地面に落ちた。

 

「お・・願い・・・」

 

ゆっくりと這いずりながら、

 

「お・・・ね・・が・・・」

 

少しずつ、

Bの足元に寄って来る。

 

身の危険を感じたBは、

 

バイクに飛び乗り、

逃げ出した。

 

「・・・お・・」

 

頭の中に響く、

小さな声。

 

「・・・お・・・」

 

バックミラーに目をやると、

遥か後ろに小さな黒い影。

 

それは、少しづつ

大きくなっていく。

 

「・・・お・・・」

 

向かいから、

対向車の灯り。

 

そこに映し出されたのは、

さっきの女。

 

上半身だけで、

手をバタつかせながら。

 

スピードを上げるB。

 

しかし、

距離は縮まっていく。

 

「お・・・」

 

恐怖にかられたBは、

思わず叫んだ。

 

「やかましいわっ!ええ加減に、」

 

その瞬間、耳元から

 

「覚えておけ。四日後、かならず・・・」

 

(終)

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