病院の裏にある安いホテルにて
去年の梅雨、
私と彼氏は夕方からオールで
大喧嘩をしていて、
朝になりやっとお互い納得し
落ち着きました。
彼氏はその日、
夕方から仕事だったので、
とりあえず寝なきゃね!って事で、
近くのホテルに行きました。
そのホテルは、
ボロい、汚い、安いで
結構有名だったのですが、
貧乏な私たちは近くて安いから・・・
と気にせず入りました。
日曜日だったので
全部埋まっていたのですが、
一つだけ、
空いている部屋がありました。
今思えば、
高い部屋も全部埋まっていたのに、
なんで安い部屋が空いてたんだろう・・・
って感じです。
2階の206号室でした。
まずベットに座って、
謝り合いました。(笑)
上の部屋はもうチェックアウトなのか、
バタバタと足音がしました。
私達はお風呂に入りました。
あがった後、
お湯は全部抜きました。
またベットで正座しながら
向かい合って話していると、
視界の左側の方で、
何か白い小さなものが
チラチラ見えます。
彼氏も気になるようで、
何度かその方向を向きます。
横を見ても何もないので、
気になって気になって
少しイライラし始めた時、
ジャーッとお風呂の水が
溜まる音がしました。
明らかに私たちの部屋から・・・。
その間も、
上の階は走り回っていました。
2分くらいして、
キュッと水を止める音がしたので、
怖かったけど私はお風呂を
確認しに行きました。
水は溜まっていなかったし、
水道栓もきちんと閉まっていました。
その時はもう部屋に入ってから
2時間くらい経っていました。
上はまだバタバタと走っています。
お互い色々と気になる事は
ありましたが、
口に出した瞬間から、
もっと怖くなるのが分かっていたので、
何も言いませんでした。
俺、仕事だから寝なきゃやばい・・・
って彼氏が言うので、
寝る事にしました。
その時・・・
彼氏の「おやすみ」に重なって、
男の声が聞こえました。
彼氏はすぐ寝たのですが
私は怖くて眠れず、
走り回る足音を無視しながら
彼氏の寝顔を見ていました。
そしたら、彼氏がいきなり
ガバッて跳び起きて、
「出るぞ!!」
って言いました。
何も分からなかったけど、
今まで起こった事を思えば、
大体の察しはつきました。
部屋を出た時、
彼氏の顔がなんだか
違う人みたいに見えて、
声も喋り方も、
いつもと全然違うのです。
怖く悲しくなって彼氏に、
「N(彼氏)だよね?
Nだよね?」
と何回も聞いた程でした。
その部屋には
5時間ほど居ましたが、
部屋を出る時まで上の足音は
休みなく走り回っていました。
ホテルを離れて、
彼氏に話を聞いたところ、
寝かけた時・・・
凄い怖い女の顔が頭に浮かび、
やばいと思って出た、
と言っていました。
走り回る音も、
チラチラ見える白いものも、
声も、
風呂の音も、
彼氏も全部聞こえたそうです。
後日、
先輩に話をしたところ、
そこは昔、
未成年の女の子が何人も
無理矢理おやじ相手に働かされる
専用のようなホテルに
使われていたそうで、
何か詳しくは分かりませんが、
色々とあったそうです・・・。
まあ、場所も病院の裏なので、
それもあるんじゃないですかね・・・。
鹿児島の某病院の裏にある
Kホテルの206号室には、
絶対に行かない方がいいですよ・・・。
(終)