部屋のドアに開いた穴 1/3

 

俺の部屋のドアには穴が開いている。

 

なぜ俺の部屋のドアに

穴が開いているのかというと、

 

俺は昔にアルバイトだったが

編集の仕事をしていた。

 

二年程で編集を辞めた時、

 

俺は締め切りや人間関係のストレス、

睡眠不足で本当に疲れ切っていた。

 

目の下のクマや抜け毛が、

俺の体の疲労を顕著に示していた。

 

次の仕事の事は考えず、

 

しばらくはゆっくりと

体と心を休ませようと、

 

当時は彼女もいない俺は二ヶ月程、

ゲームやネットに明け暮れて、

 

完全に昼夜逆転した生活を送っていた。

 

完全な引篭もり生活だ。

 

(お恥ずかしい話です・・・)

 

内側からドアに鍵をかけ、

中から物音が聞こえない状況が続き、

 

さすがに心配になったウチの母親の

呼びかけさえも無視し続けていると、

 

(無視というより、昼は寝ていて

起きないだけだったのだが・・・)

 

母親は俺が自殺でもしたのかと勘違いし、

外から消火器で一発、

 

ドアノブのすぐ横の辺りに

拳二個分ほどの穴をブチ開けた。

 

その時はまさに寝耳に水の衝撃の後、

 

自分の部屋のドアにぽっかり開いた

穴を見て愕然としたものだった。

 

だが、親に負けず

抜けた所のある俺は、

 

よく鍵を部屋に忘れて

外出する事があるため、

 

(車のドアみたいに中でロックして

閉めれば鍵がかかるドアだった)

 

万一の場合は便利でいいかと

ドアは直さずに、

 

穴を小さいポスターのようなもので

外から隠すだけの状態にしていた。

 

穴が開いている理由はそんなわけで。

 

結構くだらないでしょ?(笑)

 

そして疲れも大分癒えた頃、

 

俺は編集時代に編集部は違ったが

仲の良かった同僚の紹介で、

 

出会い系サイト管理人の仕事を始めた。

 

サイトの仕事はあまり話せないが、

なかなか面白い。

 

(裏家業のような気はするが、

そこそこ給料もいい)

 

管理画面でメッセージチェックをしていると、

 

(掲示板に、番号、アドレス、住所、

公俗良序に反する画像がないか)

 

そこには実に多様な書込みがある。

 

いつものようにチェックをしていると、

女性掲示版に、

 

『今すぐ会って欲しい。

 

困ってるの、苦しい助けて。

誰でもいいから相談したい。

 

(中略)

 

番号載せるからいつでもいいから

電話してください。

 

090-○○○○-×・・・』

 

という内容の書込みがあった。

 

どうも援助交際を持ちかける内容ではい。

 

本当に困っている様子だ。

 

しかし、

 

この書込み内容では携帯番号の

記載が規約上のNGなので、

 

即削除した。

 

・・・が、なんとなくその書込みが

気になっていた俺は、

 

その番号に仕事が終わった後、

 

随分と遅い時間ではあったが

電話をしてみる事にした。

 

まあ、チョット下心があった事は

否定しないけどね。

 

まず非通知で電話をしてみたのだが、

 

かけて僅か2コールぐらいで

彼女は電話に出た。

 

「もしもし・・・」

 

ものすごく怯えたような声だったが、

かわいらしい女の子の声だった。

 

俺は一般男性会員のフリをし、

彼女と会話した。

 

もちろん彼女は、

 

自分の書込みが削除されている事には

気づいていないだろう。

 

話を聞いてみると、

彼女の年齢は21歳。

 

住まいはやや遠いが、

 

俺の自宅から車を使えば、

30分程で行ける距離に住んでいた。

 

気になっていた困っている事とは、

何てことはない。

 

彼女は合法ドラッグに初めて手を出して、

バッドトリップを経験してしまったのだ。

 

※バッドトリップとは、

使用者がドラッグ使用中に「恐怖」、「不快感」、「錯乱」、「泣く」、「気絶」などを起こした状態。基本的に使用者がドラッグ使用以前の心理状態が関わるといわれる。バッドになった時はとにかく落ち着くのを待つののが一番良い方法だと考える。引用:ドラッグ用語集

 

その恐怖と不安が引き金で、

パニック発作が止まらないらしい。

 

常に誰かが傍に居てくれないと、

不安で仕方がないそうだったのだ。

 

メンタルクリニックへ行き、

薬をもらえばすぐ落ち着くのだが、

 

ただ彼女の場合、

 

周りに秘密で手を出してしまい、

相談出来なかったらしい。

 

俺も実はバッドトリップは一度経験している。

 

当時、まだ合法だった

マジックマッシュだったが。

 

それを話すと、

今すぐ会いたいと言ってきた。

 

俺も多少の警戒心はあったが、

パニック発作は本当に苦しいものだ。

 

苦しさのあまり自殺を考える事だってある。

 

人と話しているだけでも随分と違う。

 

人助けのつもりで、

彼女の家まで行く事にした。

 

彼女の顔も分からないし、

その時には全く下心も無かった。

 

明日の朝、診療所が開く時間まで一緒に

居てあげればいいかと思っていた。

 

(続く)部屋のドアに開いた穴 2/3

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