イブの夜を一人で過ごしていると
12月24日、
クリスマスイブでの体験。
イブになっても彼女のいない俺は、
一人寂しくY県にある菊川の酒造蔵まで
日本酒を買いに行きました。
酒を買った頃には日も暮れかけ
辺りは薄暗くなっていたので、
一人でドライブを開始。
あえて山道。
鹿や猪も見ることができ、
満足して山奥で一服。
そうしていると、
足元に一枚の紙切れが。
何気なく拾い上げてみると、
何か書いてある。
『おまえ、今日ひま?』
どっかのガキが授業中に友達へ
書いたものみたいだった。
イブに一人の俺は思わず苦笑いして、
「そのとおり」
と呟いちゃった。
これがまずかった。
どうやら山に捨てられた人間の道具は、
山に居る何かが利用するみたいで・・・
一服が終わってから、
俺はニガイ気持ちで車に乗りました。
さて出発するか。
なんとエンジンがかからない。
「勘弁してよ」
と言いながら何度もトライ。
しかし、かからず・・・
仕方が無いので、
他の車が来るのを待っていたんだけど、
山奥なので一台も通らず。
当然だけどね。
なんとなく、
さっきの紙切れが気にかかって、
「実は暇じゃない」
と呟いたら、
エンジンがかかった。
「ゴメン、行くわ」
と断わってから発進。
これもまずかった。
怒っちゃったみたいで、
いつまで経っても街に着かない。
かれこれ一時間ほど走って、
たどり着いたのは観光名所。
ガソリンも減ったし、
これ以上無駄に走るとマズイと思って、
自動販売機の前で休憩。
明かりが嬉しい。
120円を入れるが、
コーヒーが出てこない。
そんな俺をからかう様に、
強風が吹き荒れる。
もうこの状況が嫌になって、
唯一の民家に突撃した。
明かりは点いているが、
誰も出て来てくれない。
大声を出しても気付かれない。
怖さと嫌さで、
完全にパニック。
とりあえず、
酒を瓶ごとかっ食らう。
やけになって飲酒運転。
ついつい独り言で、
「お前も飲めって」
と口にする。
気が付いたら温泉街に来ていた。
明かりが嬉しい。
美しい。
そして、
そのまま無事に帰宅。
家で飲みなおす。
そこで気付いたよ。
二本買ったはずの酒が、
一本しかないことに・・・
まあ、あれだ。
12月24日のクリスマスイブは、
誰かと過ごせってことですよ。
もしくは一人身は家から出るな、
ということかも知れないが。
(終)