僕が御祓いのバイトに誘われたワケ 2/2

御祓い

 

何が始まるんだろう?

とか思いながら、

 

俺も両手に塩をまぶした方が良いのか

聞いてみると、

 

「お前には必要ない。

ただ言われた通りにしろ」

 

と言われた。

 

中年夫婦には、

 

何があっても絶対に取り乱すなと

注意をしたトキコさんは、

 

扉を開けて中に入った。

 

僕も後ろに続こうとした時、

 

中から黒い影がトキコさんに

覆い被さってきた。

 

TAKAOという、

中学生ぐらいの少年だったが、

 

異様に眼をギラギラさせながら

歯をむき出しにして、

 

「ガジャガジャ、ガジャー!」

 

みたいなことを叫んでいた。

 

トキコさんの首に噛み付こうとしていたので、

 

流石に僕も「こりゃイカン」と思い、

少年を引き剥がそうと彼に近寄った。

 

TAKAOくんは僕の顔を見るなり、

 

震え始め、

ベッドの隅っこに逃げて身を丸めた。

 

「体のどこでもいいから引っ叩け!」

 

トキコさんにそう怒鳴られた。

 

なので、悪いなぁとは思いながら、

丸まってる背中を引っ叩いた。

 

そんなに強く叩いた覚えはなかったが、

 

「うぎゃあ!!」

 

と言って、

TAKAOくんは泡吹いて倒れた。

 

倒れているTAKAOくんを介抱しようと、

両親が近寄る。

 

そんな強く叩いてないよな・・・

と思いながら横目でトキコさんを見ていると、

 

「これで御祓いは終りました。

もう大丈夫です」

 

そう言った。

 

確か、そう言ったと思う。

 

それからはTAKAO君をベッドに寝かし、

中年夫婦にお礼を言われながら帰った。

 

なんでもTAKAO君が大人しく寝たのは、

半年振りだったそうだ。

 

ちなみに、

 

TAKAOくんの部屋は

物凄い事になっていた。

 

多分、物は危ないから

片付けたのだと思うけど、

 

壁という壁に切り傷や穴があった。

 

帰り道、

あまりに意味が分からなかったので、

 

トキコさんに「意味が分かりません」

と素直に言って、

 

色々と聞いてみた。

 

可哀想なことに、

 

一緒に来ていたケイちゃんは、

帰り道の途中でゲロを吐いていた。

 

「あんたは相当なモノを持ってるね」

 

トキコさんにそう言われた。

 

初めはちんちんの事かと思ったが、

そうではないらしい。

 

どうやら、

 

言い方は宗教や御祓いの流派によって

変わるらしいが、

 

『守護霊』や『気』

なんて言われているものらしい。

 

そんなに凄いのかと思って、

 

「そんなに良いんですか?」

 

と尋ね返すと、

 

「いや、逆だ。最悪なんだよ、

あんたの持ってるモノ」

 

そう言われた。

 

最悪じゃダメじゃないか、

と思ったので、

 

「最悪って、

それじゃダメじゃないですか」

 

と言うと、

 

「普通はな。

だけどお前は普通じゃない。

 

なんでそれで生きてられるのか、

おかしい」

 

トキコさんに言わせると、

 

俺の持っている『モノ』が、

相当に酷いらしい。

 

実はケイちゃんがゲロを吐いたのも、

 

俺がTAKAO君を叩いた時に

祟られたらしい。

 

まぁ色々聞きたかったのだが、

 

あまりにケイちゃんの気分が

悪くなってしまったので、

 

トキコさんとケイちゃんは

先にタクシーで帰った。

 

僕は止めておいた自転車で帰った。

 

トキコさんのお店で、

なんと10万円も貰えた。

 

「本当はいくら貰ってんだろう?」

 

そう思ったけど、

 

中学生の背中を引っ叩いて

10万円ならいいや、

 

と思って喜んでいた。

 

それから少しして、

僕は留学した。

 

その当時の仕事よりも、

やりたい事があったのが理由だ。

 

結局3年前に戻って来たものの、

仕事が無く、キャリアも無く、

 

派遣をやりながら生活している。

 

3年前に帰国した後、

トキコさんに会った時に言われたのが、

 

「あんたのそれ、

かなりたくましくなってるよ」

 

そう言われ、

ニヤっと笑われた。

 

なんでも僕の『モノ』は

異国の地で精力を養ったらしく、

 

以前よりパワーアップしているらしい。

 

一応、真面目に勉強していただけ

なんですけどね。

 

それから3年、

御祓いのバイトをしている。

 

ただ、トキコさんやケイちゃん、

そしてヤスオさんたちは、

 

いわゆる霊感的なものがあるらしく、

色々と見えるらしい。

 

ところが僕は本当に何も見えない。

 

なので、

 

今でも引っ叩いたり話しかけたり

するだけである。

 

ただ残念なのは、

 

今でもケイちゃんは仕事が終わると

ゲロを吐く。

 

僕のせいなので、

いつも申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

 

(終)

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