予定外の貸し別荘での宿泊にて 3/3

別荘 二階建て

 

俺が電話を取り、

『直通』と書かれたボタンを押すと、

 

2~3コールの後、

 

別荘まで案内してくれたおじさんが

電話に出た。

 

おじさんに必死で事情を話すと、

おじさんが独り言のように、

 

「・・・まさか、まだ出るなんて・・・」

 

と呟いた後、

 

「説明は後回しで、

リビングに神棚があるね?

 

そこに御札とセロテープが入っているから、

その御札をドアに貼って待っていなさい」

 

と言った。

 

俺達は意味がわからなかったが、

他に解決策も無く、

 

とにかくリビングへ戻り、

神棚を探す事にした。

 

神棚は、部屋の端の方の

天井近くにあった。

 

椅子を使って中を覗き込むと、

確かに御札とセロテープが入っている。

 

俺達は急いでそれを出すと、

 

玄関とリビングの入り口のドアと窓に、

御札を貼った。

 

窓に御札を貼る時、

なるべく外を見ないようにしていたのが、

 

一瞬だけ見てしまった。

 

すると、青白い腕が数本、

窓をガンガン叩くのが見え、

 

さらに腕の向こうには、

 

どう考えても腕の位置とは不自然な形で

人の顔が見えた。

 

その顔はやはり他と同じように

焦点が合っていない目で、

 

だらんと口を開けていた。

 

俺は、外で『それ』がどんな状態に

なっているのか、

 

恐ろしくて考える事も出来なかった。

 

何時間くらい経ってからだろうか、

 

外が明るくなり始めた頃、

壁やドアや窓を叩く音は聞こえなくなった。

 

それでもまだ『それ』が

来るかも知れないと思うと動けず、

 

そのままじっとしていると、

 

遠くから車がこっちへ向かってくる音が

聞こえ始めた。

 

車が庭に止まると、

数人の足音が聞こえてきて、

 

ドアのチャイムを押す音と、

 

「おーい、大丈夫か?」

と声が聞こえてきた。

 

俺達は「助かった・・・」と

大急ぎで外に出ると、

 

最初にここの手配をした人と

案内した人、

 

それと他に3人のおじさんが来ていた。

 

手配をした人と案内をしてくれた人が

すまなそうに、

 

「本当にすまない。

もう大丈夫だと思っていた。

 

事情を説明するから、

とにかく荷物をまとめて来てくれ。

 

ゴミとかはそのままでいいから」

 

と言い、

俺達はその通りにして別荘を出た。

 

車に乗せられ、

俺達は神社へ案内された。

 

一緒に来ていた他の3人は、

その神社の関係者らしい。

 

俺達はホッとして緊張感が解けたのと、

助かったという気持ちもあったが、

 

それ以上に怒りが湧いてきて、

 

「なんであんな場所へ泊めたんだよ!」

 

と怒った。

 

すると、

 

神社の神主さんらしき人が、

こんな話をし始めた。

 

あそこは昭和40年代まで

ただの森だったのだが、

 

観光地開発をするということで、

40年代の終わり頃に人の手が入った。

 

それで順調に開発が進んでいたのだが、

 

あの別荘を建てた昭和50年代前半頃から

おかしな事が起こり始めたとか。

 

別荘が原因なのか、

開発そのものが原因なのか、

 

それは今でもわからないらしいが、

 

とにかくあの太鼓の音や『人の塊』が

その頃から出没し始め、

 

最初の別荘の持ち主とその次の持ち主は、

そこへ宿泊中に失踪してしまったらしい。

 

それで売りに出され、

 

今の管理組合が所有する

貸し別荘となったのだが、

 

それからも何度もあの『人の塊』は現れ、

 

被害者は出なかったが

目撃者から散々苦情を言われたので、

 

神主さんが10年ほど前に御祓いをしたとか。

 

それ以後、

貸し出されてはいなかったが、

 

掃除や整備に来た人たちは

誰も『それ』を見かけていなかったため、

 

もう大丈夫だろうということで、

俺達に貸したらしい。

 

その結果が昨晩の事件だった。

 

俺達は完全に巻き込まれた被害者なので、

散々文句を言うと、

 

管理人がここまでの交通費と食費は

こちらが持つ事、

 

別荘のレンタル費用もいらないし、

 

次に旅行をする時は大幅に割引するよう、

代理店に口利きもする、

 

だから本当に申し訳ないけど、

この事は黙っていて欲しい、

 

と頭を下げてお願いしてきた。

 

俺達は何か言いくるめられた気もするが、

 

警察にこんな話をしても

どうせ信じてもらえないだろうからと、

 

渋々その話を飲むことにした。

 

以上です。

 

上に書いたようにそういう事情なので、

詳しい地名などは書けません。

 

ちなみに去年、

 

割引してくれるというので旅行代理店に

電話した時に聞いたのだが、

 

あの別荘は取り壊され、

今は更地になっているらしい。

 

(終)

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