イタコを騙した降霊の儀式の代償

恐山

 

俺が中学生の頃です。

 

くだらないことをやらかしては、

 

よく先生から指導室に呼ばれて

怒られていました。

 

その日も友達数人と、

指導室に呼ばれていました。

 

その時に怒り終わった先生が

俺たちにしてくれた昔話です。

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先生がまだ大学生だった頃、

 

友人たちと東北の方へ

旅行に出かけたそうです。

 

旅の目的のひとつは、

 

『恐山のイタコは本当に霊を

降ろせるのか試してみよう』

 

というものでした。

 

※イタコ

東北地方で、霊の口寄せをする巫女(みこ)。多くは盲目の女性。青森県下北半島恐山のイタコが有名。

 

先生を含め、

 

皆が幽霊や霊魂といった類のものを

信じておらず、

 

「どうせ嘘に決まっている」

「せっかくだから嘘を見破ってやろう」

 

などと考え、

悪だくみをし始めたそうです。

 

その悪だくみとは、

 

先生の友人(A)が死んだ事にして、

Aは別の場所で待機しておく。

 

イタコがAの霊を降ろしたところで

Aをその場に登場させ、

 

「実はAは死んでいませ~ん」

 

とバラすつもりだったらしいんです。

 

作戦通りにイタコの元を訪ね、

 

先生の友人たちのうち一人が

Aの彼女役になり、

 

「どうしても去年死んでしまった

彼氏(A)に会わせて欲しい」

 

と、イタコにお願いをしたそうです。

 

すると・・・

 

イタコは降霊の儀式を始め、

ポツリポツリと話し始めたそうです。

 

「苦しい」

「助けてくれ」

「息が出来ない・・・」

 

先生たちは笑いを堪えつつ、

その様子を見ていたそうです。

 

それでもイタコはさらに続け、

そして最後に、

 

「こんなことなら・・・

本当に付き合いたかった・・・」

 

と言って終わったそうです。

 

そこへ、生きているAが登場・・・

となるはずだったのですが、

 

いくら待ってもAがやって来ません。

 

当初の予定では、

 

時間を見計らって建物の中に

入ってくる予定だったため、

 

降霊が終わる頃には建物の近くで

待機しているはずだったのです。

 

不思議に思った先生たちは、

 

とりあえずその場を終わりにして、

Aを探しに行ったそうです。

 

しかし・・・

 

その後しばらく辺りを探したそうですが、

結局Aは見つからず、

 

慌てて警察へも届け出て、

捜索してもらうことになったそうです。

 

そして次の日。

 

イタコに降霊の儀式をしてもらった

場所から少し離れた川で、

 

水死体となって発見されたそうです。

 

そしてこれは後日に分かった事だそうですが、

Aの死亡時刻について、

 

ちょうど先生たちが降霊の儀式を

受けていた時間だったらしいです。

 

どうしてAは、

わざわざ離れた川まで行ったのか?

 

泳ぎが得意だったAがなぜ、

 

それほど深いわけでもなく、

流れも穏やかな川で溺れたのか?

 

不明な点は多かったらしいのですが、

結局は事故死として扱われたそうです。

 

そうして先生たちは、

 

誰もがあんなバカな事をしてしまった

自分たちの行動を恥じたそうです。

 

Aの両親には、

その事を話そうとも思ったらしいのですが、

 

ひとり息子のAを突然亡くし、

悲しんでいる両親を前にすると、

 

とても話すことは出来なかったそうです。

 

そして先生たちはこの話を

自分たちの中でもタブーとし、

 

今まで誰にも話さなかったそうです。

 

「もう、十年以上も昔の事だけど、

今でも後悔してるよ」

 

そう先生は言い、

そして最後に、

 

「神様とか幽霊をバカにするような

遊びだけはやらないでくれよ」

 

厳しくも悲しそうな目で、

俺たちを見ながら言いました。

 

俺たちは全員が心の底から反省して、

 

それ以降は、

勝手に神社の境内に忍び込むことや、

 

深夜に肝試しと称して、

 

近くの心霊スポット巡りをすることは

一切無くなりました。

 

(終)

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