3歳になる娘の横に立っていたのはキツネ
これは去年、東北の方へキャンプに行った時の話です。
そこは山の奥地にあり、自然たっぷりのキャンプ場。
首都圏から遠いせいか混んでいることがなくて、いつも利用しています。
日が暮れて晩飯が終わり、早起きだった為にテントで少しウトウトしていたところ、外から聞こえる3歳になる娘の笑い声で目が覚めました。
女房と遊んでいると思い、テントから外を覗いてみてビックリしました。
娘の横にキツネが立っていたのです。
キツネは立派な体格で、綺麗な毛並みをしていました。
ですが、噛み付かれでもしたら大変だと飛び起きて出て行ったら、キツネはそそくさと逃げて行きました。
逃げて行ったというか、暗闇のせいかもしれませんがスーっと消えたように見えて、足音も聞こえませんでした。
野生の生き物はすごいなと思いながら、娘の無事にほっとしたのですが…。
娘は全く怖がっておらず、ニコニコ顔。
そしてまたビックリしたのが、娘は小さな両手いっぱいの『木の実』を持っていました。
ドングリやらオレンジ色の実やら色々な種類があって、キャンプ場内では拾うことも出来ない実がたくさん。
これどうしたの!?と聞いたら、「きつねさんにもらった。きつねさん笑ってた」と。
はっ!っと頭に浮かびました。
キャンプ場がある小高い山の頂上にはとても古くて小さな稲荷神社があって、キャンプ場に入る前には必ず立ち寄り、自分はワンカップを1本、娘は必ず自分の持っているおやつを1つ置いてから行っていました。
山に入る時はお願いしますって入るんだよと教えていたのですが、トトロが大好きな娘は、いつも真面目に拝んでいたようなのです。
山の神様って本当に居るんだなぁと、炊事場から帰ってきた女房となんだか暖かい気持ちになりました。
(終)