神様への生贄に捧げているもの
私が住んでいる田舎での話。
私の家の近所にある神社は、
相続税の都合で、
地元の神社本庁に寄付されるまで、
我が家の私有の神社だった。
祀っている御神体は、
私の先祖の女性が入り婿だった夫から
結婚の際に贈られた品らしいが、
ヤバイものが憑いているという。
何が憑いているかは知らないが、
祟ると怖いので、
生贄を捧げることになっている。
祭祀を担ってきた家の当主がした事とは・・・
これまで年に一度、
生贄として近所の川で捕ってきた川魚を
捌いて納めていた。
普通の神社と違い、
血の穢(けが)れなんてお構い無しの神様で、
現在の土地に先祖が移住する前に
暮らしていた土地は山だった為、
山で獲った獣を儀式として、
祭壇の前で捌いて供えていた。
今は獣が獲れない平野部に
一族が移住したので、
川魚を捌いて供えていた。
今も昔も、
血の滴る儀式に違いはない。
それらの行為を、
野蛮だの未開だのと言った馬鹿がいた。
その馬鹿は地元の鼻摘み者で、
某宗教(S)信者たちだった。
※鼻摘み者(はなつまみもの)
臭いものは鼻をつまんで避けるところから、ひどく人に嫌がられること。また、その人。
氏子たちは無視していたのだが、
結局は色々あって、
自粛せざるを得なくなった。
※氏子(うじこ)
同じ氏神(うじがみ)の周辺に住み、その神を信仰する者同士をいう。氏神は、日本において、同じ地域(集落)に住む人々が共同で祀る神道の神のこと。
そして、
その年は儀式を自粛したのだが、
某宗教信者たちの中心人物の一人が、
まもなく死亡した。
それも、
神社での『儀式の際に捌く魚と同じ姿』で。
奴は地元でヤクザみたいな事をやっていたので、
暴力団絡みの事件として処理された。
それを知った我が家と数件の祭祀を
担ってきた家の当主たちは、
※祭祀(さいし)
神や祖先を祭ること。祭典。
神様に生贄を捧げ続けないと
自分たちが祟られると震え上がったが、
信者たちの反発も怖いと考えあぐねた挙句、
地元で大きな朝市を開いた。
※考えあぐねる
物事が思いどおりに進まず,手段に困る。考えがまとまらない。
都市近郊なので、
野菜を買いに来る客は多い。
そして、
この客たちの来る朝市の会場は、
神様を祀る祭壇を模して作ってある。
殺される事こそないが、
年に一度ある催事の帰りに、
これら客が何人か交通事故で死ぬ。
だが、
神社の氏子は誰も死なない。
元々氏子は生贄として
受け付けてくれない神様なので、
祭壇に氏子以外の人間が大勢いると、
『ここにいる氏子以外の人間は、
神様への生贄です』
という事になるから。
ちなみにこの神様は、
神社で子供の遊び相手になるのが大好きな、
気さくな爺様なんだけどね。
(終)
バカルトくっさ