ある神職一族の本家と分家の事件 2/3

注連縄

 

(本家は血統を存続させることに

重きを置いているので、

 

昔から男女の区別はなく

長子が家を継いでおり、

 

女性神職が許されなかった時代は、

 

婿を取ってX神社の建前上の

神職として据え、

 

本家が代々祀るZ神社の祭祀は、

女性当主が行っていたらしい)

 

長い本家の歴史上、

 

次代当主候補が神様に

そっぽを向かれたことは

 

ほとんど起こったことはなく、

 

急遽、本家と分家の神職を

一同に集めて、

 

追加で祭祀が行われることに

なったそうだ。

 

その時、

Aさんはチャンスだと思った。

 

長女が失敗すれば、

次は長男の順となるが、

 

次代当主確定の祭祀は、

 

当主の子息が10歳になった時に

行われるので、

 

長男が10歳となる来年までは、

次期当主候補は不在となる。

 

この隙に、

 

自分を神様に認めさせることが

出来るのではないか、

 

と厨二病全開なことを考えた。

 

厨二病(wikipedia)

 

Z神社で祭祀を行う際に

読み上げられる祝詞には、

 

本家と分家に伝わるZ神社の

主祭神のみに奉上するための、

 

独自に定型化された

長い祝詞がある。

 

祝詞の内容自体は、

分家の人間も知らされてはいるが、

 

本家の当主と次期当主以外は、

 

当主が許可した時以外、

 

その祝詞を読み上げることは

禁じられている。

 

ここに、本家が特別に、

 

神様に守られている秘密が

あるのではないか、

 

と考えたAさんは、

 

それを追加の祭祀の際に

読み上げて、

 

神様の気を惹こうと考えた。

 

しかし、

 

当時のAさんは

冷静さを失っており、

 

祝詞自体は知っておく

必要があるが、

 

当主の許可なしに

読み上げてはならないという、

 

習わしの意味することを

良く考えていなかった。

 

そして、

追加祭祀の当日。

 

一般的な祝詞の奉上が終わり、

 

例の祝詞を当主が読み上げ

始めたのに合わせて、

 

こっそりと小さな声で

祝詞を読み上げ始めた。

 

それから暫くした頃、

 

突然に視界が一瞬

グニャリと歪んで、

 

意識が遠のくのを感じ、

 

薄暗い拝殿の鏡の上に

 

幻のように黒い直径1メートル程の

球体上のものが

 

浮かんでいるのが見えた。

 

その球体には、

 

人口衛星の周回軌道のように

幾重もの注連縄が巻かれている。

 

物凄い怖気を

全身に感じながらも、

 

「ほう、これが本家の祀ってる

神様の御姿か・・・」

 

などとAさんが思っていると、

 

球体の注連縄の隙間から

黒い液体のようなものが漏れ出し、

 

それが影のように延びてきて、

取りすがろうと当主に近づき始めた。

 

その影は、

 

当主から一定の距離まで

近づいたところで、

 

まるでそこに見えない壁が

あるかのように、

 

全く近づけないようになった。

 

その時、

Aさんは気付いてしまった。

 

あれが何故、

 

当主に近づくことが

出来ないのか?

 

当主には邪なものは

近づけない・・・

 

つまり、

あれは神様などではない。

 

そのことに気付いた時、

 

我が身に感じていた怖気が

急に強くなった気がした。

 

全身の毛が逆立つかのような

悪寒が体を駆け抜ける。

 

「見つかった!」

 

Aさんが確信したと同時に、

 

影のようなモノがゆるゆると

こちらに向かって動き始めた。

 

それは、ゆっくりとだが、

確実にこちらに近づいて来る。

 

しばらくしてその影が

膝先にまでに到達した瞬間、

 

目の前が真っ暗になった。

 

それと同時に、両目、両耳、

鼻に激痛が走った。

 

赤熱するまで熱した鉄の棒を、

 

両目、両耳、鼻の穴に突き刺した

というほどの痛みだった。

 

多分、あまりの激痛に

絶叫していた。

 

その激痛のさなか、

 

他の感覚など消し飛んで

いるはずが、

 

触覚などないはずの脳を

 

直接手でまさぐられるかのような

感覚があり、

 

それと呼応するかのように、

 

ひきつけでも起こしたように、

 

体が痙攣しているのを

感じたという。

 

激痛に苛まれ、

徐々に薄らぐ意識の中で、

 

声が聞こえた。

 

『イッポン・・・ツナガッタ』

 

次にAさんが気付いた時には

夜が明けており、

 

右腕にギプスをされ、

病院のベッドにいた。

 

医者からは、

 

石段から足を踏み外して

転んで右腕を骨折し、

 

その拍子に頭も打ったらしいので

一応CTを撮ったが、

 

問題ないようなので退院しても

大丈夫だと言われた。

 

Aさんは仕事が終る時間を

見計らって、

 

本家の当主のもとに、

事の顛末を聞きに行った。

 

その時に聞いた話を

掻い摘んで書くと、

 

以下のようなものだった。

 

1.

第三者から見た時、

自分の身に何が起こっていたのか?

 

Aが突然絶叫して、

 

正座した姿勢のまま

痙攣を始め、

 

暫くして右腕を

上げたかと思ったら、

 

右腕だけを無茶苦茶に

振り回し始めた。

 

その後、

 

右腕の動きがピタリと

止んだと思ったら、

 

関節の可動する反対方向に

腕が捻じ曲がって、

 

嫌な音を立ててへし折れ、

また全身痙攣を始めた。

 

その間、

 

当主は祝詞を読み上げ

続けており、

 

祝詞を読み終わると同時に、

Aの痙攣は止まった。

 

その後、

 

Aさんの父に抱えられるように、

病院へ運ばれた。

 

(続く)ある神職一族の本家と分家の事件 3/3へ

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