中学の時にあった恐怖体験 1/2
最近、久しぶりに霊体験のようなものをして、中学生の頃にあった怖い体験を思い出しました。
何年も前、家から近い私立の女子校に進学しました。
中学一年生だった時、小学校が一緒だった子がいなかったのに加え、入学してすぐに変な噂を流されてしまって、私はクラスで孤立していました。
噂の内容は詳しくは教えてもらえなかったのですが、「猫を生きたまま食べてるのを見た」だとか、それは酷い嘘ばかりでした。
中学に入ったばかりの女の子といえど、これを本気で信じていたとは思えないので、やっぱりちょうどいい憂さ晴らしの対象にされていたのかなとも思います。
噂が流行だしたのが四月の終りで、それまで少し仲良くしてくれていた子とも話してもらえなくなり、寂しい思いをすることひと月と少し。
六月に入ってから、二つ隣のクラスの子から呼び出されて空き教室で話したのですが、彼女が「本当に猫を殺したのか?」などと訊いてきました。
私が「違う」と言うと、妙な頼み事をしてきたのです。
妙な頼み事とは
なんでも、彼女(香川さん・仮名)の飼い猫がこの辺りで行方不明になっていたそうですが、つい最近死体になって見つかったのを「あなたが殺したことにして欲しい」と言うのです。
どうしてそんなことを言われるのか分からないし、断ったのですが、香川さんは執拗にそれを頼んできて、土下座までした上で、なおも私が拒否すると顔をぶってきました。
理由を訊いても答えてくれません。
私はその頃シカトされるストレスなどから体調不良を起こし、ガリガリの上に背も低かったので全く抵抗が出来ませんでした。
香川さんはなんだか鬼気迫っていて、私は怖くて「香川さんの言う通りにする」と言ってしまいました。
これから無実の罪を着せられてもっと虐められるんだろうかと思った私は泣き出したのですが、香川さんはとても嬉しそうにして私の手を握り、「じゃあ、私がミイを殺しました。香川さんでなく、ミイを殺したのは私です、と言って」と要求してきました。
変だなとは思ったのですが、言うまで帰してくれなさそうだったので、その通りに言いました。
香川さんは私の手を放し、何度も「ありがとう、ありがとう」と言って私を玄関まで送ってくれました。
次の日、私はそれでも学校に来ていたのですが、新しく噂が流れるようなことはなく、私はただシカトされていました。
そのまま一週間くらいが経ちました。
ある日の休み時間、「誰かが呼んでる」とクラスの子に話しかけられて、おやっと思いました。
わざわざ私にそんなことを教えてくれるなんて、この子は私の味方なのかな、と嬉しく思ったのです。
が、ふと見回してみると、いつの間にかクラス中のほとんど全員が静かになり、私と戸口の方を見ていました。
戸口に目を向けると、そこには香川さんが居て、「ちょっと来て」と言うのですがその姿が異常だったのです。
香川さんは両腕を包帯でグルグル巻きにし、両頬に大きな湿布を貼っていました。
そして、学校の中だというのに帽子を被っていたのです。
先生に何か言われないのか不思議なくらいの格好でした。
香川さんは泣きそうな顔で、「放課後に学校の近くのある場所に来てほしい」と言って帰っていきました。
私は彼女が居なくなってからその日は塾だったことに気づいたので、彼女のクラスを訪ねました。
先生に、「香川さんはここ三日ほど登校していない」と言われてゾッとしました。
私に会うために学校まで来たのかと思うと、彼女に呼び出されたのが急に怖くなり、「塾もあるから仕方ない」と自分に言い聞かせて約束をすっぽかしました。
なんとなく不安なまま過ごした私は、塾からの帰り道、ヘトヘトで家まで帰る途中に誰かが道にうずくまっているのに気づきました。
夜十時近くだったと思うのですが、それは香川さんでした。
私がびっくりして声をかけると、「良かった。来てくれて良かった・・・」と泣いて喜びます。
私はそこで気づいたのですが、そこはちょうど香川さんに指定されていた場所で、もしかしなくともずっと待っていたのかと思って可哀相になってしまいました。
香川さんはまだ包帯や湿布、それに帽子を身につけていて、とりあえず公園まで二人で歩いて座ると、泣きながら喋り出しました。
彼女はまず、飼い猫に小さなことでついムシャクシャして二週間ほど前に殺してしまったのだと告白しました。
私が殺したことにして欲しいと頼んできた例の猫は、実は彼女自身が絞め殺していたのです。
(続く)中学の時にあった恐怖体験 2/2