生後10日以内の早死にの子は

手

 

これは、爺ちゃんがまだ子供の頃の話。

 

逆算すると大体主戦直後くらいか。

 

場所は、沖縄県宮古諸島の伊良部島という小さな島。

 

その当時はおもちゃなんて物はもちろん無くて、サザエの蓋やら米軍が落とした爆弾の破片やらを遊び道具にして海やら森やらで遊び回っていたそうな。

 

小さな島なので遊び場は少なく、やがて行動範囲は大人たちが「行くな」と念押す森の奥にまでになっていった。

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森の中で見つけたものとは

その日も友達数人と一緒にサトウキビを咥えながら、森の中を探検していた。

 

すると、大将格の一人が「なんか声が聞こえる」と言い出した。

 

よく耳を澄ますと、確かにどこか遠くで何かが鳴いている。

 

奇妙に思いながらも、皆は声のする方向へ一直線に進んで行った。

 

だいぶ声が近くなってきたところで、先頭を歩いていたガキ大将が急に立ち止まった。

 

その視線の向こうには、何かこんもりとしたモノが。

 

探検隊は慎重な足取りでそれに近づいていった。

 

「ィィィイイイ!ィィィイイイ!」

 

不気味な声で泣き喚くそれは、よく見ると”赤ん坊”だった。

 

それも血まみれで、頭が大きくひしゃげ、真っ赤な目玉が両方とも飛び出していたそうだ。

 

※ひしゃげ

潰れて醜く変形すること。

 

その上、その赤子の周囲には沢山の蟹やオカヤドカリが屯(たむろ)し、赤子の肉や皮をついばんで引っ張っている。

 

その異常な光景に暫し言葉を失くして立ち竦んでいたが、やがてガキ大将を先頭に森の出口に向かって一斉に走り出し、転がるようにしてやっと家に着いた。

 

そして、その時の誰一人として、その出来事について親に話したりはしなかったそうだ。

 

沖縄県では昔、火葬ではなく風葬が行われていた。

 

お墓の中に死体をそのまま置くのだ。

 

だが、生後10日以内の早死にの子は『アクマの子』とされて、そのまま森や洞窟に捨てられてしまう。

 

アクマの子の魂がまた戻って来ないように、次はまともに生まれ変わるようにと、そういった思いが込められているのだそうな。

 

(終)

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