つい自転車の操縦を自慢したくなり
幽霊だったのか?
それとも妄想だったのか?
これは、そんなお話です。
当時小学4年生で、かなり生意気盛りなお年頃の事でした。
その日、友達と一緒に自転車に乗って遊びまわっていました。
そして、ふと自転車の操縦を自慢したくなったのです。
私は「前を歩いている女の人の手間で止めてみせる!」と言い放ちました。
友達は止めたけれど、私は聞く耳なんて持っていませんでした。
悪い事は出来ません
そして颯爽と自転車を漕ぎ出したのですが、その直後から体が動かなくなりました。
そう、金縛りです。
このままでは女の人にぶつかってしまう。
大声で叫びますが、何も出来ずに焦るばかりです。
その時、私はふと「金縛りは後ろにいる霊が起こしているのでは?」と思い、気合で振り向きました。
するとそこには、顔、顔、顔・・・。
15人以上の、お爺ちゃんとお婆ちゃん達の顔がびっしりとありました。
知っている顔は一つもありません。
それに驚いた瞬間、金縛りが解けたので慌てて急ブレーキをかけました。
ですが間に合わず、自転車のタイヤで前を歩いていた女の人の膝裏をカックンする勢いでぶつかってしまいました。
結果、女の人のストッキングには見事なまでにタイヤの跡が付いていました。
私は必死に「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」と謝り続けました。
女の人は優しい人だったようで、ぶつかったことを少しも怒りませんでした。
一緒にいた友達に後から聞けば、私が大声で叫んだのは聞いていないし、お爺ちゃんやお婆ちゃんも見ていないというのです。
今思えば、『悪い事をしようとしていたので罰を与えられた』ということなのでしょう。
悪い事は出来ませんね。
(終)