ひとりおしゃべりを数日続けたある晩
あなたは『ひとりおしゃべり』というのをご存知でしょうか?
降霊術のひとつだそうで、椅子を2つ用意して片方に座り、もうひとつの空いた椅子に向かっておしゃべりを続けると霊が出るというものです。
私はこれに似た事をしてしまい、霊の存在を感じたある出来事をお話します。
誰かが見下ろしている
当時、私は病院の栄養士をしていました。
始発に飛び乗って職場へ向かい、帰りは夕方というのがしょっちゅうで、休みも録に取れずに肉体労働で、かなりハードな職場でした。
あまりにストレスが溜まるので、職場の同僚は20代前半の若さで胃カメラを飲む人がほとんどでした。
なので、休日は寝て過ごす事が多く、友人や知人と遊びに出かける事も激減していきました。
そんなある日、ふと寂しさからか、寝る準備をして布団に入ってから、一人で誰に語るでもなくおしゃべりを始めました。
その日は、「明日もまた4時起きで仕事だし寝よう」と寝ました。
そして翌日も仕事から帰ってあれやこれやして布団に入ってから、また誰に話すでもなく独り言を続けました。
そんな事を数日続けたある晩、また同じように喋ってから眠りにつこうと目を瞑ると、布団の左側に何かの気配がしました。
私はすぐさま目を開けて確認したのですが、誰もいませんでした。
しかし、目を瞑ると誰かが見下ろしているように感じるのです。
気味が悪くなって仰向けに眠ることが出来ず、顎を思いきり引いて下を向きながら眠りにつきました。
これが1ヵ月くらい続きました。
といっても、特に被害はなかったので、1ヵ月も経てば気にならなくなっていました。
そんな時に事が起こりました。
その日もうつらうつらしながら、いつも見下ろされているように感じる側を背にして眠っていました。
すると、急に金縛りに遭い、両脇に手を差し込まれる感覚がしたのです。
もちろん玄関や窓には鍵が掛かっているわけで、誰かが入り込んだ形跡もないのに一体誰がそんな事をするのか・・・。
私は金縛りに遭ったまま、気が付くと眠っていました。
結局、『見下ろされ、金縛りに遭い、脇腹に手を差し込まれる』という現象は、引っ越すまで続きました。
あれはストレスからきた何かなのか?
それとも、病院から誰かが憑いてきてしまったのか?
はたまた、ひとりおしゃべりが原因なのか?
未だに不思議で仕方ありません。
(終)