お札の家 1/3

霊感ゼロの自分が唯一味わった、

霊体験です。

 

広島県F市某町、 

地元の人間なら誰もが知る

有名なスポットがある。

 

『お札の家』と呼ばれたその場所には、

名前通り、無数のお札が貼られた家がある。

 

他の噂ばかりのスポットとは違い、

ソコを訪れた大学の友人は、

ほぼ全員が不思議な体験をしたという。

 

普段霊感のない人にも見えるらしい。

 

友人「家の周りだけ、不自然に

濃い霧が覆っとったんよ。

 

んで、冗談半分で霧に塩投げたら、

いきなりブワッと霧が裂けたんじゃーw

 

流石にヤバ過ぎる思って逃げたったw」

 

どうやら異様な数の霊が

集まってくる場所で、

 

見える人によれば、

お札に阻まれ家に入れない霊が

ウヨウヨいる、とのこと。

 

上の友人の話は印象強くて、

今でも忘れられない。

 

『霊感が無くても見えた』

 

霊感の無い自分にとっては、

いつか行きたい

魅力的なスポットだった。

 

ふとした日、ファミレスでの食事中に

お札の家の話を切り出した。

 

居合わせた仲の良い先輩と、その彼女、

そして友人Sはヤケにノリ気。

 

「今すぐ行こう」となった。

 

元々地元の先輩と彼女は、

高校時代に行ったことがあるらしかったが、 

恐くて車を降りれなかったらしい。

 

他県から来ていたSは、

特にノリ気だった。

 

話を出した後で少し恐くなり後悔したが、

遅かった。

 

自分「いや、ホンマにヤバいらしいで?

ソコ行って一週間寝込んだヤツとか、

帰り事故ったヤツとか、

普通におるらしいで?」

 

S「今さら何ビッっとんw

俺霊感あるし、子供の頃から

普通に霊とか見ようたし、

 

その気になりゃ霊にもキャン

言わしちゃるけぇねw」

 

自分は内心、コイツ馬鹿だなーと

思っていたが、

 

「本当に危ない霊がいたらすぐに教える」

「お前を先に逃がす」

 

と言われ、

 

普段から怖いもの知らずで気が強いSが

同伴するということもあり、

 

お札の家に行くことを承諾してしまった。

 

時間は大体23時を回ったくらい。

 

心霊スポットに来るには早い時間だったが、

お札の家に続く林道は重々しく、

 

暗いってだけで雰囲気があった。

 

車から降り、

「うっわ、やっぱヤメといた方が

エエんと違うーっ!?w」

などとハシャイでいたが、

 

先輩カップルが車から降りて来ない。

 

自分「どぉしたんすかー?w」

 

先輩「R(彼女)が気分悪いから

無理やって。俺も残るわ」

 

S「えぇー!せっかく来たんすから、

見るだけ見に行きましょうよー!」

 

先輩「いやいやホンマにえぇわ。

お前ら二人で行ってき」

 

S「何ビビッてんすかw

霊なら俺に任しといてくださいよー!」

 

先輩「うるしゃーわお前!!

Rが気分悪い言うとろうが!!

調子に乗んな!!」

 

半分喧嘩になりかけたので

慌てて止めに入り、

 

渋々二人きりで行くことになった。

 

S「あーもー何なん!?絶対あの二人、

車の中でエロいことする気やで」

 

自分「こんな所てそれはないじゃろ・・・

てか、お前先輩に態度デカ過ぎ」

 

S「戻ったら思いっきり窓ガラス叩いて、

脅かしちゃろうでw」

 

自分「・・・」

 

呆れて言葉も無かったが、

 

急に視界に飛込んできたバリケードに驚き、

立ち止まってしまった。

 

S「・・・こっからが本番っちゅうコトかw」

 

『ここから先、○○市保有地区により

立入り禁止』

 

有刺鉄線まで使われた、

厳重なバリケードだった。

 

乗り越えることが出来なかったので

一度林に逸れて、

 

有刺鉄線が途切れた所で乗り越え、

また道に戻り、先に進んでいった。

 

今考えると、

あのバリケードを越えた瞬間、

 

急に寒くなった気もするし、

そんなことは無かった様な気もする。

 

とにかく空気が変わった、ってことは

自分にもわかった。

 

緊張してしまい、無言で歩く自分。

 

裏腹にSはやたらキョロキョロし、

 

S「あっソコにおるなー。

おぉ!アッチにもおるで~」

 

相変わらずのハシャギようだった。

 

ところで、『お札の家にはダミーがある』

ということを前々から聞いていた。

 

友人「あんなー。林道を進むと、

まず一軒の白い家にぶつかるんじゃ。

 

でもその家は、放置された

ホンマに普通の民家じゃけ、

 

その家の横に、

登り坂になった獣道があるけぇ、

 

ソコを登らんとお札の家には

辿り着けんよ?

 

たまに、その普通の民家を

お札の家と勘違いして、

 

そのまま帰ってくるヤツとか

おるけぇのーw」

 

そして、そのダミーの家は本当にあった。

 

(続く)お札の家 2/3へ

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