無人の神社に居たモノ 3/4

ここで、Cさんについての説明と、

Cさんから聞いた話をまとめる。

 

<Cさんについて>

 

地元の幼馴染の姉。

 長女Cさん、長男Eさん(神道関連の某大学生)

 次男F(幼馴染)の3姉弟。

 

地元の神社の娘。

 

昔から色々と視える性質だそうだが、

 わざわざ人に喋ることでも無いし、

 喋ることで鬱陶しいのに、

 (そういうのが好きな人間)

 まとわりつかれるのも嫌だからとのこと。

 

<聞いた話>

 

何か得体の知れないものが憑いてる。

 (人間の霊とかで無く、よく分からんらしい)

 

話を聞いた限りでは、

 物理的に害を与えるというよりも、

 精神に障るタイプのヤツっぽい。

 

憑かれたままだと、ろくな目に遭わないはず。

 下手すりゃ死ぬかも、とのこと。

 

その話を聞いて、

今も視えるか聞いてみたら、

 

C「ほら、あの並木の辺り見てみ?」

 

と言ってCさんは、

向こうに見える並木道を指差した。

 

「講義や試験を終えた学生が、

ぞろぞろ帰ってるのが見えるだけですが・・・」

 

C「じゃ、メガネ外してもう一回。

歩いてる人の足元辺りに注目!」

 

「!!!!」

 

周りの風景や人は

ぼやけて見えるのに、

 

辛うじて人の形に見える、

漆黒のタールのようなものの上半身が、

 

這うような姿勢のまま静止しているのが、

はっきり視える。

 

C「見えた?クロウリングケイオスって

感じだよね」

 

(クロウリングケイオス=ぐちゃぐちゃに

入り混じってる不明なものが這ってる)

 

「Cさん。実家の神社で

巫女さんとかもされてましたよね?

御祓いとか出来ないんですか?」

 

C「無理無理。

自分に変なのがまとわり憑かないように

することで精一杯。

実家継ぎ損なってなけりゃ

出来たかもだけど」

 

C「それにしても何したの?

普通に心霊スポットとか行ったぐらいじゃ、

あんなの拾って来ないよ普通(笑)」

 

「マジ笑い事じゃないですよ。

神社で肝試ししただけですよ。俺ら」

 

C「うーん」

 

何か含みのある様子で軽く唸ると、

急にCさんが俺の手を引いて腕を絡めて、

 

C「ま、こんなトコで立ち話もなんだし、

ちょっと飲み屋にでも行こうか?

奢ったげるからさ」

 

このCさん。

 

あんまり女性っぽくない

サバサバした性格だけど、

 

見た目は無造作に後ろで束ねた長い黒髪で、

和装が似合いそうな美人さん。

 

なので、こんな話をしてる時なのに、

ドキドキしてたのは内緒だ。

 

C「私とくっ付いてたら、

とりあえずは大丈夫。

 

後、君は結構運がいいね。

 

(長男の方)が実家の用事ついでに、

私のトコに寄る予定あるんだ。

 

後2時間くらいで着くはずだから、

安心していいよ」

 

そう言いながら、

グイグイ俺を引っ張っていく。

 

結局、2人で個室のある飲み屋に入り、

先ほどの話の続きをすることに。

 

飲み屋に腰を落ち着けて、

事の経緯を説明し、

 

色々聞いた話をまとめると以下。

 

(聞いた時に分からなかった言葉とかは、

後で調べて補足しています)

 

1、

Cさんでは御祓いが出来ないことについて。

 

普通、神職自体には、

霊とかその他諸々を祓う力は無い。

 

祀ってる神様の力を

借りないことには祓えない。

 

そもそも神職は

巫覡に端を発しているので、

 

霊を成仏させたりする

坊主とは違う。

 

神様の力を借りるには、

相応の舞台装置が必要。

 

つまり、神社の外では、

依り代とかがなければ

大したことは出来ない。

 

2、

神社の境内は神域のはず。

なんであんなのがいるのか?

 

坊主の作る結界とは違い、

神社は神を降ろすための舞台装置

(神を降ろし易くすための場)

に過ぎない。

 

神域とは、

舞台装置である神社に

神が降りることによって、

始めて力を発揮する。

 

神職や管理者が居たり、

きちんと定期的に祀られてる神社は、

 

神域として正しく機能しているため、

おかしなものは寄り付かない。

 

逆にそうでない神社は、

何か寄せるための

舞台装置だけがある状態。

 

色々と、おかしなものが

集まって来るので危険。

 

ここまで話を聞いて、

疑問に思った事を聞いてみた。

 

「なんでEさん(長男)が来たら

安心なんです?さっきの話だと、

神職自体に祓う力は無いんでしょ?

 

ましてやEさんて、今まだ在学中で、

正式な神職になって無いでしょ。

 

それとも、Cさんと二人で力を合わせれば

何とかなるって、そういう話ですか?」

 

C「違う違う。確かに、

神職自体に祓う力は無いってのは、

Eに関しても当てはまるんだけどね。

 

ただ、あの子は色々と特別なわけ。

うちの神様に守られてるんだよね。

 

具体的な効果範囲は分からないけど、

少なくともEの視認出来る範囲内には、

 

幽霊とかその他諸々の、

危害を加えるものは近寄れない」

 

「それを聞いて気づいたんですけど、

もしかして、地元の心霊スポットとかで

肝試しした時に何も起らなかったのって・・・」

 

C「そう、いつもE居たでしょw」

 

「でも、なんでEさんだけ

そんな特別扱いなんです?

 

そもそも、神様が一人だけを

守ったりとかあるんです?

 

神社って全国各地にあって、

しかも有名な神様だと分霊でしたっけ?

 

とかされて、同じ神様を祀ってる神社が

いっぱいあるのに」

 

C「んー。ちょっと長くなるけどいい?」

 

(続く)無人の神社に居たモノ 4/4へ

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