狐狗狸さん 1/3

季節は秋で、当時僕は

大学一回生だった。

 

長い長い夏休みが終わって

数週間が過ぎ、

 

ようやく休みボケも回復してきた

とある日のこと。

 

時刻は昼過ぎ一時前。

 

友人のKから

 

『面白いもん手に入れたから来いよ』

 

と電話があり、

 

大学は休みの日でヒマだった僕は、

深く考えずに一つ返事で、

 

ノコノコとKの住んでいる大学近くの

学生寮まで足を運んだのだった。

 

K「よーよー、ま、入れや。

Sも呼んであるからよ」

 

寮の玄関先で待っていたKに促され、

中に入る。

 

Kの部屋は二階の一番奥だ。

 

それにしても、

 

階段を上りながら口笛など吹いて

随分と機嫌が良いようだ。

 

「なあなあ、

面白いもんって何なん?」

 

K「まーそう急かすなって。

ちゃんと見せてやるからよ」

 

そんなKの様子を見て、

僕はピンと来るものがあった。

 

Kの言う『面白いもの』とは、

 

新作のDVDやゲームの類を

想像していたのだけど、

 

どうやらそうじゃないらしい。

 

Kは生粋のオカルトマニアだ。

 

何か曰く付きのナニカを

手に入れたのだな、

 

と僕は当りを付けてみる。

 

部屋の前まで来ると、

Kは僕に向かって

 

K「ちょっとここで待ってろ」

 

と言って、

自分だけ中に入って戸を閉めた。

 

僕は素直に指示に従う。

 

十数秒も待っていると、

勢いよく戸が開いた。

 

すると目の前には一枚の紙。

 

「じゃんじゃかホイ!」と、

僕の顔の前に紙をかざしたKが言う。

 

紙はB4程のサイズで、 

パッと見、

 

五十音順にかな文字と、

一から十までの数字の羅列。

 

よくよく見ればその他に、

紙の上の方には

 

それだけ赤色で描かれた

神社の鳥居の様なマークがあり、

 

鳥居の左には『はい』、

右に『いいえ』 と書かれている。

 

紙は若干黄ばんでいて、

所々に茶色いシミも見えた。

 

「・・・何ぞこれ?」

 

僕の疑問に、

 

Kは掲げた紙の横に、

にゅっと顔を出して答える。

 

K「ヴィジャ盤」

 

「ヴ・・・ヴィ、何?」

 

K「ヴィー。ジャー。バーン。

こっくりさん用のな。

 

もっと言えば、

 

こっくりさんをやる時に必要な

下敷きってわけだ。

 

そん中でもこれは

特別だけどな」

 

そう言ってKは「うはは」と笑う。

 

とりあえず僕は部屋の中に

入れてもらった。

 

Kにアダムスキー型の飛行物体を

縦に潰した様な座布団を借り、

 

足の短い丸テーブルの前に座って

話の続きを聞く。

 

「こっくりさんって、アレでしょ?

十円玉の上に数人が指を置いて、

こっくりさんに色々教えてもらう遊び。

 

で、これがその下敷きなんね」

 

丸テーブルの上には、

そのヴィジャ盤とやらが広げられている。

 

あと、テーブルの端にビデオカメラ。

どうやら何かしら撮影する気でいるらしい。

 

K「まー、ざっくり言えば

そんなとこだな」

 

「これKが書いたん?」

 

K「ちげえ。とある筋から手に入れた。

まー詳しくは言いたかねえけどさ。

 

どうせやるなら、

 

とびっきりのオプション付きで

やりてえじゃねえか」

 

僕はそのKの言葉の意味が

よく分からなかった。

 

やりたいって一体何をやるんだろう?

オプションって何だ?

 

僕の頭上には幾つも?マークが

浮かんでいたのだろう。

 

Kはヴィジャ盤を人差し指で

トントンと叩き、

 

K「このヴィジャ盤は、

 

昔、ある中学校で女子学生が、

こっくりさんをやった時に使ったものだ。

 

有名な事件でよ。

 

そのこっくりさんに加わった女生徒、

全員がおかしくなって、

 

後日、まるごと駅のホームから飛び降りて、

集団自殺を図ったんだとよ。

 

ほとんどが死んで、

 

生き残った奴も、

まともな精神は残って無かった。

 

で、これが駅のホームに

残されてた」

 

トントントン、と紙の上から

テーブルを叩く音。

 

話の途中からすでに

『みーみーみーみー』と、

 

耳の奥の方で危険を告げる

エラー音が鳴っていた。

 

これはマズイ流れだ。

 

僕は以前にも、

 

この手の曰く付き物件に

Kと一緒に手を出して、

 

非常に怖い思いをしたことがある。

 

それも一度や二度じゃなく。

 

K「やろうぜ。こっくりさん」

 

それでも、気が付くと

僕は頷いていた。

 

Kほどじゃないけども、

僕もこういった類は好きな方だ。

 

十中八九怖い思いをすることが

分かっていても。

 

6:4で怖いけど見てみたい。

 

分かるだろうか、この心理。

 

「でもこれ、

元々女の子の遊びでしょうに。

 

男二人でこっくりさんって言うのも、

ぞっとしないねぇ」

 

K「ゴチャゴチャ言うない。

ほれ、十円だせよ」

 

「僕が出すのかよ」

 

と愚痴りつつ、

十円をヴィジャ盤の上に置く。

 

すると、Kがそれを

 

紙の上部に描かれている

鳥居の下にスライドさせた。

 

どうやらそこがスタート地点らしい。

 

K「あーそうだ。注意事項だ。

最中は指離すなよ。

 

失敗したら死ぬかもしれんしな」

 

Kが恐ろしいことをさらっと

言ってくれる。

 

それでも幼児並みに

好奇心旺盛な僕は、

 

十円玉の端に人差し指を

そっと乗せた。

 

Kも同じように指を乗せる。

 

「・・・で、何質問する?」

 

K「あー、それ考えて無かったな。

まあ手始めに、Sがここにいつ頃来るか

訊いてみるか」

 

Kは適当に思いついたことを

言ったのだろうが、

 

それは中々良い質問だなと

僕は思う。

 

二人ともに知りえない情報。

 

こっくりさんは果たして

どう答えるだろうか。

 

(続く)狐狗狸さん 2/3へ

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