アホの俺たちを見かねた親切なこっくりさんが
最初に言っておくが、これは大した話ではない。
その日の放課後、教室で友達らと喋りながら宿題をやっていたら、話の流れで『こっくりさん』をやることになった。
紙に50音と数字を書いて準備を済まし、「おいでください」と言った瞬間、『う』と『い』に十円玉が動いた。
もちろん、まだ何も質問していない。
それからは何を聞いても『うい』しか言わない。
何かが来てくれたのは確かだ
そのうち『うい』が『ういり』になって、最後は『ういりす』になった。
何度か『ういりす』の文字の上を高速で十円玉が繰り返し移動するのを見て、友達の一人が突然叫んだ。
「ウィリスか!ウィルスじゃなくてウィリスか!だろ?」
すると、十円玉は『はい』に移動して、こっくりさんは止まった。
その後は、うんともすんとも言わなくなった。
どうやら、こっくりさんは満足して帰ったらしい。
実はその日は月曜日で、前日の日曜洋画劇場は『ダイハード』だった。
それで俺たちは昼休みに、「ブルース・・・ウィリスだっけ?ウィルスだっけ?」という話をしていたが、アホな子しかいなかったから結局どっちが正しいのか分からないまま昼休みが終わった。
そういう事があり、こっくりさんに言われるまで皆すっかり忘れていた。
たぶん悪魔や神様ではないと思うが、とても親切な何かが来てくれたのは確かだ。
「わざわざ教えてくれるとはなんて親切なこっくりさんなんだ!」と、あの時の俺たちは感動していたが、こっくりさんは単にイライラしていただけなのか・・・。
本当は宿題の数学が全然分からなかったから、答えを教えてもらおうと思ってこっくりさんを始めたのだが、そっちは答えてもらえなかった。
(終)
ブルースウィルスだと思ってました…
自分はブルーズ・ウィリスだと思っていました…