定時制高校に通っていたやんちゃな男の子
これは、私が学生時代に先生から聞いた話。
その先生は私が通う学校に赴任する前、定時制の高校で勤務していた。
定時制の学校に通う生徒さん達も色々な人がいるそうで、その中に結構やんちゃっぽい男の子がいたそうな。
その男の子の名前を仮に『中田君』とする。
仕事終わりに急いでバイクをブッ飛ばして学校に来る中田君に対して、先生は「体に気をつけろよ」、「ちゃんと飯食ってるか?」といつも目をかけていた。
そんなある日の夜、中田君は学校に来なかった。
先生は本人に連絡を取ってみたが、全く電話に出ない。
仕事が長引いているのかな?と思いながら、生徒達がみんな帰った夜の教室で、先生は一人でプリントの整理や掃除をしていた。
ふと目を上げると、いつも中田君が座っていた席に、モザイクのような人影が揺れながら佇んでいた。
思わず「おまえ、中田か?」と声をかけると、そのモザイク状の人影はパズルが崩れるのようにサーッと散った。
その瞬間、先生は「ああ、死んだんだなあ」と、なぜか冷静に確信したそうな。
その後、中田君の仕事先や実家に連絡してみると、やはり亡くなっていた。
聞けば、いつものように仕事先から学校へ駆け付ける途中に事故に遭った、とのことだった。
「家に帰るより先に学校に来るなんてなあ。おまえ、そんなに勉強したかったんだなあ」と、お葬式で泣けて泣けて仕方なかったと先生は言っていた。
今まで聞いた霊の目撃談でも、モザイク状やポリゴン状だったというものが多い気がするが、そういうものなんだろうか。
私には見えないので不思議な感覚。
(終)