教師の後から教室に入って来た者
これは、時々霊を見てしまう友人の山根から聞いた話。※名前は仮名
山根が中学時代のある日のこと、英語教師が教室に入って来ると、後から『首無し武者』が付いて来たそうだ。
ヤバい、笑ってるのバレた!?
普通なら怖いところだが、教師が小脇に教材を抱えている姿と、武者が小脇に自分の首を抱えている姿が妙にシンクロしていてツボってしまった。
「どんな副担だよ!!」
笑いを堪えながら武者を観察していると、英語が興味深いのか、両手で首を持って教師の教科書を覗き込んだり、教師の雑談に両手で首を前後に振って頷いてみせたりしている。
目を見開いた無念の表情のまま顔が変わらないのも相まって、その度に吹き出すのを我慢していた山根。
しばらくして気付くと、武者が怒りの形相に変わっている。
しかも首を山根に向けて・・・。
「ヤバい、笑ってるのバレた!?」
そう思った山根は心で念仏を唱えたが、武者はお構いなしに近づいて来た。
必死で「ごめんなさい。許して下さい」と念じたが無駄で、夜叉の様な表情の首を小脇に抱え、とうとう武者は山根の横に立った。
先程までとは打って変わって、恐怖に身動き出来ない山根。
そして無言で刀の柄に手をかける武者。
「切られる!!」
武者が勢いよく刀を抜いたその瞬間、右脇に抱えていた首が落下した。
驚いて床を見ると、ポカーンとした表情の顔で転がっている武者の生首。
ついに我慢しきれず、山根は爆笑してしまった。
もちろん授業中がゆえ、教師は激怒。
そして怒られている間に武者はいなくなっていたそうだ。
(終)