運命の赤い糸で結ばれていた二組の夫婦の話
これは、まるで『運命の赤い糸』で結ばれていたと思えるような、ある二組の夫婦にまつわる話。
まずは一組目の夫婦は旦那さんからの話。
子供の時、いつも夢の中で遊ぶ女の子がいた。
しかし、他の子たちは知っているのにその子だけが知らない子で、子供ながらに「誰かな?誰なんだろう?」とずっと不思議に思っていた。
そして成人して結婚したが、今の嫁と付き合っていた時に子供の頃の写真を見せてもらったことがあった。
すると、まさしく子供の頃に夢の中で見ていたあの女の子だった。
写真を見た瞬間に記憶が蘇り、「あれー?この子、知ってるー!(笑)」となった。
不思議だが、本当にあった話。
羨ましいエピソード
続いて、二組目の夫婦の娘さんからの話。
これは、うちの両親の話。
父は貧乏農家の小倅で、隣町の病院の裏の空き地に行っては、アンプルだの紫のフラスコだのを拾って宝物箱に大切にしまっていた。
ある時、二眼レフのネガ的な物を拾う。
光に翳すと、眼鏡にスーツ姿の紳士と幼女が写っている。
何せ田舎の貧乏家庭の父だから、そのフィルムも宝物にして箱の中へ大切に保管した。
やがて父は結婚し、新居へ引っ越す時にその宝物箱が出てきてので、母に説明しながら見せていた。
すると、母は件のフィルムに反応し、詳しく聞き出した。
驚いたことに、写っていたのは幼い頃の母と、満州で病院を経営していた今は亡き父であった。
母は自分の父の思い出がほとんどない。
その後、その写真を引き延ばして修正を施し、仏間に飾っていた。
写真ではあるが、母は自分の父と再会した。
結果的に、私の父(母の夫)は生涯の伴侶となる人の写真を10歳の頃から宝物として大切に守っていた。
まるでポールオースターの小説みたいな話だ。
うちの両親は良い所は一つもないが、このエピソードだけは正直うらやましい。
(終)