過去に戻ってやり直した人生
これは、俺が社会人の頃の話。
この頃の俺は、仕事が上手くいかずに憔悴し切っていた。
鬱(うつ)耐性のない俺は、とにかく死にたいと考えていたことだけは良く覚えている。
帰りの電車で何気なく学生の頃のことを思い返しているうちに、俺はいつの間にか眠ってしまっていた。
目を覚ますと、大学の最寄り駅に着いていた。
授業に遅刻していた俺は慌てて電車から降り、急いで改札へと向かった。
・・・という具合に支離滅裂なことを述べているが、文字に起こすとまさにこの通りに俺は時間を遡ってしまったのかもしれない。
この出来事が、おおよそ3年前のこと。
この後、俺は授業中に異変に気が付いた。
過去の出来事のように時間を遡った日のことを思い出し、軽いパニック状態を起こしたのだ。
しかし、その日以外の記憶がない為に、頭がおかしくなったと処理している。
死にたいと考えていたことだけは良く覚えていると述べたのは、これが理由だ。
昨年社会人になったが、今のところあの日の記憶のような出来事には遭遇していない。
夢見がちだが、本当に時間を遡ったのならと、あの日を境にしこたま勉強したのが功を奏したのかもしれない。
もしかしたら何かのお告げを夢で見たのかもしれないが、とにかく不思議な体験だった。
(終)