天狗様が少し力を貸してくれた?
これは、『天狗』にまつわる奇妙な体験話。
神奈川県の南足柄市にある大雄山最乗寺には、天狗の高下駄がたくさん奉納されている。※大雄山最乗寺の天狗伝説のサイトはこちら
小さいサイズから巨大な鉄下駄まで境内を色んな高下駄が埋め尽くし、参拝者を楽しませてくれている。
子供の頃になるが、今でも鮮明に憶えている奇妙な出来事がある。
その日、祖父母に連れられて大雄山に登り、高下駄のある場所まで行った。
物珍しくて、色んな高下駄に足を入れてはしゃいでいたのを憶えている。
そのうち、祖父母の「頑張れ!」とか「おっ!強い強い!」と言う声に混じって、別の声が聞こえてきた。
「御主にはまだこの下駄は履けはしまい」
「よし、もう少しじゃ。力を込めい」
「この童(ワラシ)は面白い。どれ、少し力を貸そう」
それは、まったく知らない人の声だった。
するとその直後、まず動かないであろう30センチもあろう鉄の高下駄が一歩前に出た。
(終)
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