体にモフッとした何かがぶつかる感覚

尻尾

 

これは、以前に友人の周りで『毛むくじゃらバトル』が勃発していた話。

 

発端は彼女から、「近くにそれらしき物は何もないのに、体に毛布が当たったような感じがする。病院で脳の検査を受けてみたが異常はなかった。どうすればいいだろう」と相談されたことだった。

 

仕事中だったり、あるいはスーパーで買い物をしている時だったり、体にモフッとした何かがぶつかる感覚がするのだという。

 

そしてその現象は決まって”空腹を覚えた時”に起こるらしい。

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現象の正体

体に異常がないのなら心霊現象の類なのかもしれないが、私も友人も見えるわけではないので何ともしようがない。

 

母に相談してみたところ、「旅行ついでに神社へお参りに行ったら?気分転換にもなるし」と。

 

そうして旅行中に立ち寄った小さな神社で、境内を掃き掃除中の神主さんが梅干しでも食べたような表情をして私達から顔を背けた。

 

唇を固く結んで肩を震わせながら咳き込み、明らかに笑いを堪えている。

 

もしや?と思い、話を聞こうとして近寄ると、「ンフゥッ」と変な声を出されてしまった。

 

社務所でお茶を頂きながら神主さんに伺ったところ、ボクシング用の赤いグローブを付けたタヌキと、青いグローブを付けたアライグマが殴り合いのケンカをしている、とのこと。

 

どちらも丸々肥えていて非常に暑苦しく、性別は毛深すぎて分からないとのことで不明。

 

ただ、殴り合いといってもお互い四足歩行の生き物なので、後ろ足でバランスを取ることに必死なため、渾身の一撃すら滅多に当たらず、運よく当たったとしても大したダメージにはならない。

 

ケンカがヒートアップするにつれ、友人の肩から頭上、腰、足元と移動していき、時折彼女の体にどちらかの尻尾や尻がぶつかってしまうのだという。

 

友人を悩ませている現象の正体はソレだった。

 

そしてケンカの原因は「何を食べるか」だった。

 

普段は仲睦まじい二匹だが、食べ物の好みが微妙に違う。

 

例えるなら、こしあん派とつぶあん派のような、些細だが根深い問題。

 

タヌキが「これがいい」と言えば、アライグマは「あれがいい」言い、食い意地の張っている二匹はどちらも譲らないので「戦じゃー!」となる。

 

大まかに言えばそんな図式だそうだ。

 

守護霊のようなものですか?という問いに対しては、「きっとそうなんじゃないかな。僕にはよく分からないなあ。神主だからね」とのお言葉。

 

なんとも言えない気分のまま旅行から帰ってきて数週間後、友人から連絡があった。

 

しばらくは相変わらずの状態だったそうだが、どうやら解決したらしい。

 

曰く、「ケンカをやめないなら私ダイエットするからね!毎日玄米とササミと野菜だけにするから!って言ったら起こらなくなったよ」と。

 

そして旅行から半年ほど経った今、稀に例の現象が起こるものの、「ダイエット・・・」と呟けばすぐに収まるようだ。

 

何故タヌキとアライグマなのかは分からない。

 

友人は以前カナダに旅行したことがあり、向こうには沢山アライグマがいるよと話してくれたが、轢かれていたのを助けたり、餌付けしたりといった出来事は一切なかったそう。

 

タヌキも同様で、野生動物を目撃する程度だったとのこと。

 

神主さんが言うには、尻尾が縞模様で眉間に黒い筋がある、明らかにアライグマだと。

 

もしかしてムジナ(アナグマ)が化けていたりするのだろうか。

 

(終)

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