きっと守護霊さまだよ
これは、私が中学生になったばかりの頃の体験話。
親に新しい自転車を買ってもらいました。
そして、しばらくして夏休みに。
ある日に近所のおばさんに誘われて、母とおばさんの家へ遊びに行きました。
すると、ホームセンターで特売の物があるという話になり、母が「そうだ、自転車あるんだから買ってきてよ」と言い出し、おばさんにも頼まれて、私が自転車で買いに行くことに。
しかし、その日は朝ごはんを食べていなかったのと暑さで、帰りの坂道は自転車を押しながら登っていたら気分が悪くなり、貧血になってしまいました。
幸い、人や車の通りが少ない道だったので、自転車を止めてその場に座り、吐き気が治まるまで休んでいることに。
その時、農協の帽子を被り、首にはタオルをぶら下げ、見るからに農家の格好をした70代くらいのおじいさんが近づいてきて、笑顔で話しかけられました。
「どうしたの?暑いから具合が悪くなっちゃったか?」
おじいさんは雑然と置いた自転車を横に寄せて私の隣に座り、具合が良くなるまで話をしてくれました。
そして買ったばかりの自転車で名前も書いていないのに、「あなた○○さんとこの娘さんだろ?」と、地元では珍しい私の名字を言い当てました。
しばらくして気分も良くなったのでお礼を言って帰ろうとすると、おじいさんは「家まで送って行ってやろう」と言って、自転車を押してくれました。
家までの道を教えていないのに、おじいさんはどんどん私の家へ。
私はただ驚いて付いて行くばかりでした。
家に着くと、おじいさんは「横になって涼しくしているといいよ」と言ってくれ、お礼を言って別れました。
うちのことを知っているし、農家の格好だったから父に聞けばわかるだろうと思い、父におじいさんの特徴を話してみました。
ですが、「誰だろう?そういう人はこの辺にいないなぁ」ということで、わかりませんでした。
おばあちゃんにも話してみると、「きっと守護霊さまだよ」と言ってニコッと笑いました。
後でわかったことですが、私は両親両方のおじいちゃんは生まれた時からいなかったので会ったことがなかったのですが、母方のおばあちゃんの家へ行った時におじいちゃんの遺影をよく見てみると、あの時に助けてもらったおじいさんに顔がよく似ていました。
父も、「お前が言っていた人に似ているな」と驚いていました。
ただ、あの時のおじいさんは未だにどなたかわかりません。
本当に守護霊さまだったのかも。
(終)