スズメに餌をあげてはいけない理由 2/2

スズメ

 

ガラス窓には全てシャッターが付いていて、数名でシャッターを下ろす作業をしていた。

 

先輩がシャッターを下ろした途端・・・、

 

バンバンバンバンバン!!

バンバンバンバンバン!!

 

明らかに人が外から叩いている音が施設内に響いたそうです。

 

すぐにその場にいた男性職員がイタズラだと思い、窓から叩かれているシャッターを覗き見た。

 

その瞬間、音が止み、窓から身を乗り出していた職員は、目を見開いて中にいる全員を見て言う。

 

「誰もいない・・・」

 

今の今まで音が鳴っていたシャッター。

 

誰かがイタズラしていたのなら、逃げていく姿ぐらいは見れるはず。

 

みんなその事を分かっていたし、ありえないと思っていたが、誰も言葉に出来なかった。

 

しん、と静まり返って、なんとも言えない空気が漂った。

 

この日、休みだったチカちゃんは、翌日に話を聞いて震え上がったそうです。

 

「すごい怖かったですよ!今まで普通に働いていた場所で、そんな異常なことが起こるなんて思わないじゃないですか」

 

(そりゃそうだ。そして今、私がその気持ちです・・・)

 

その日は、シャッターを閉めるのがとても怖かったのを今でも覚えています。

 

うちのデイケアは病院が運営しているんです。

 

なので、施設は病院の隣にあるんです。

 

そんな関係から、病院では色々あるのは想像がつくし、利用者の中で亡くなった方だって

もちろんいるわけで・・・。

 

みんなビビリまくったけれど、取り立てて何かをする事もなかった様です。

 

その後も事務所にある神棚の榊が倒れてきたり、誰もいないデイルーム内で物音がしたり、片付けてあったリハビリ用の道具が勝手に落ちたり、と色々。

 

チカちゃんもその当時、ちょっとした体験をしているそうです。

 

しかし、事態が大きく急変したのは、やっぱりその先輩の前でした。

 

変な事が起こり始めて2ヶ月近くが経っていたので、もう夏の暑さが酷くなっていた頃。

 

営業終了後、デイルーム内の清掃や翌日の準備をしていた職員達。

 

その間はやはり暑いので、全てを終えて帰る直前までクーラーは入れていた。

 

なので、全ての窓は閉められており、室内は過ごしやすい温度が保たれている。

 

そのはずなのに、何故か湿った空気を感じた先輩。

 

原因はなんなのか?

 

どこか窓が開いているのか?

 

あらかた終えた清掃の手を止め、辺りを見回す。

 

また黒い影が視界を横切った。

 

ぱっと目をやった窓に、初めて黒い影を捉えることができた。

 

事務所側の窓、その先はあのスズメの死骸を見つけた職員用の駐車場がある。

 

黒い影は窓の下の方から少しだけ見えていた。

 

目を凝らし、徐々に近づいた先輩は、それがなんであるかに気づいた。

 

それは、こちらを覗く『人の顔』だった。

 

鼻を窓枠に押し付けるようにして覗く顔は、目から上しか見えない。

 

雨も降っていない真夏日なのに、長い髪は濡れたように顔に張り付いている。

 

表情のない目は異様でおぞましく、先輩は全身が総毛立つと同時に、ある確信を持った。

 

あのスズメの死骸、きっとこいつが食ったんだ!

 

何故かその時、先輩はそう思ったそうです。

 

絶対に、こいつだ。

 

こいつがスズメを食っていたんだ!と。

 

その顔はヌルヌルとした肌で、緑がかった黄土色をしていた。

 

恐怖で大声をあげて泣き出した先輩に驚き、他の職員も慌てて駆けつけた。

 

その日は全員がパニック状態で、収拾がつかなかったそうです。

 

チカちゃんもその場に居たそうですが、顔なんて見ていなかった。

 

先輩はその後、今まで自分の身に起こっていた事を責任者に話した。

 

黙って聞いていた責任者には心当たりがあった様で、すぐどこかに電話を入れた。

 

しばらくして、呼び出された数名が一室にこもり、なにやら相談していたそうですが、内容は今でも不明との事。

 

最終的に分かった事は、デイケアの施設が建っている場所は以前は民家で、その土地を購入して建てたそうですが、その家には井戸があったと。

 

私自身、この話を聞くまで知らなかったのですが、井戸を潰す時は御祓いやお清めが必要らしい。

 

その神事を、どうやらやらなかった様です。

 

施設完成直後も実は色々あり、慌てて地元の神主に助けを求めた。

 

とりあえず応急手当のような事はしてくれたらしく、その後はきちんとお祀りしていたので何事もなかった。

 

ここからはその神主さんの見解ですが、恐らくスズメをお供え物と勘違いしたあの顔が、急にお供え物を止めてしまった先輩に抗議しに来たんじゃないか?と。

 

しかも、先輩が見たその風貌からして、もうあれは水神や龍神ではなく、魔物となってしまったのだろう。

 

抑えることが出来ても、完全にその存在を消してしまう事は難しい。

 

上手く共存するしかない、と責任者に言われたそうです。

 

デイケアは二年ほどで寿退社してしまったのですが、私はその二年間、何も経験しませんでした。

 

今は大人しくしているのだと思います。

 

また、スズメの死骸があった場所は、井戸があった傍だったようです。

 

(終)

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