ただならぬ者の仕業か?
大学時代の頃の話。
かれこれ12年ほど前になる。
当時は親戚の家で厄介になりながら八王子の大学に通っていた。
片道2時間ほどあった為、高校時代の同級生で西八王子に住んでいた友人の家によく入り浸っていた。(友人とは別の大学)
その日もいつもの様に、大学帰りに親戚の家ではなく西八王子で下車し、友人宅へ向かった。
居るはずの者が居ない・・・
ちなみにその建物は6階建てのマンションで、友人宅は5階だった。
俺はその部屋でPS(プレステ)の”みんなのゴルフ”をやり、友人はベットに寝そべりながらコンポで何かの音楽を聴いていた。
すると、突然「バチッ!」と音がして、その部屋の電気が落ちた。
その時はまだ何も不審に思わず、「電気の使い過ぎかな?」ということでブレーカーを上げ、コンポを切り、そして照明の明かりまでも消した。(まだ夕方だった)
すると、数分した頃に再び「バチッ!」と音がしてブレーカーが落ちた。
さすがに電力をそれほど使用していると思わなくて、ベランダに出て5階から町中やマンションを見回してみた。
同じマンションにある1階のメガネ屋や、2階より上の他の部屋の電気は点いている。
明かりが消えているのは“友人宅だけ”のようだった。
どうやら町単位での停電ではないことは分かった。
おかしいな・・・と友人とべランダで不思議がっていると、突然「ピンポーン」とインターホンが鳴った。
友人の性格は明るく、またこの部屋が溜まり場のような感じだったこともあり、その時も不審がらず「誰か他の友人が来たかも」と玄関へ出た。
しかし、扉を開けてみても誰も居なかった。
ただ、その時も”ピンポンダッシュ”を誰かがイタズラでやっていると気楽に考えて、部屋に戻ってブレーカーを戻した。
「またインターホンが鳴るぞ!」
・・・そう友人と話していると、再びブレーカーが「バチッ!」と落ちた。
そしてすぐ「ピーンポーン」と鳴ったので、また玄関へ行った。
だけど、何故か誰も居ない。
おかしい・・・と思って、外へ出てエレベーターの影や物陰も見たけれど、やはり誰も居ない。
部屋に戻って友人と、「絶対なんかおかしいよな?」と、ようやく少し真剣に話し始めた。
・・・と、その矢先だった。
もう一度「ピンポーン」とインターホンが鳴った。
俺と友人は同時に怯え、男同士で思わず抱き合った。
友人の体の震えが伝わってくる。
二人して嫌々ながら押し合いへし合い玄関へ出た。
・・・が、やはり誰も居ない。
俺たちは慌てて部屋に戻り、どちらからともなく「ヤバイ!塩だ塩!!」という流れに。
友人が塩を手に取ると、べランダに出て”食塩”をお互いに振り合った。
さらにはベランダに盛り塩までした。
あまりの怖さにもう一人の友人に電話して来てもらう事に。
その後はそれまでのおかしな現象は無くなったが、今でもあれは『ただならぬ者があの部屋に訪問して来た』としか思えない。
(終)