イトウって知ってる？

2017-12-17 08:30 [謎怖 26巻]

高校生の頃から今現在にかけて、俺の周りをウロチョロする謎の同級生がいる。

高１の時に言われたのが一番最初だった。

イトウとは一体何者なのか？

夏休み明け直後の日、クラスの奴に「イトウって知ってる？」と言われた。

俺「イトウ？知らないなぁ」

「何言ってるんだよ、お前と同級生だろ？地元の友達だろ？」

俺「いや、知らんし」

数日後。

「やっぱりイトウって知ってるだろ？アイツお前と仲良かったらしいぞ」

俺「だから知らないって」

「しらばっくれるなよ！」

俺「はぁ？そんな奴いないって！」

それで喧嘩になった。

ソイツは俺に薄情だと言う。

俺は知らない奴を知ってる奴だと言われて、なんか癪（しゃく）に触ったのでキレた。

若い頃だったから血の気は多いとしても、それでもクラスの奴は異常にキレた。

家に帰ってから卒業アルバムを小学校の頃から調べたが、やっぱりイトウなんていなかった。

結局ソイツとはそれ以来、口をきくことはなくなり転校していった。

変なわだかまりが残ったが、しばらくイトウの名を忘れていた。

それから学年が変わって高２になった頃、またイトウの名を耳にする。

今度は部活が一緒だった隣のクラスの奴。

「なぁ、イトウって知ってる？お前と同じ中学なんだろ？」

俺「いや知らないって･･･」

「だってさ、お前と同じ部活で３年間一緒だったって言ってたよ」

俺「はぁ？ちょっとどういう知り合いなのか詳しく教えてくれよ」

久々にその名前を聞いて嫌なことを思い出したが、正体が知りたくて詳しく聞いてみた。

「女だよ、背の低い。友達の友達なんだよね。こないだソイツとカラオケ行ってさ。ノリのいい奴」

俺「いや･･･知らない･･･。女ならなおさら知らない」

「マジ？連れて来てやるよ。本当にイトウ、お前のこと詳しいから」

俺は、そこら辺で怖くなった。

本当にどんなに記憶を辿っても知らない奴なんだから。

わりと聞く名前だが、イトウなんて同級生は一人もいない。

それから数日後。

「お前に会わせようとしたイトウさ、いなくなったらしい」

俺「え？なんで？」

「分からん。突然、家を捨てて夜逃げみたいな感じだったって」

俺「･･･」

次、イトウは以外なところで現れる。

地元の友達が聞いてきた。

「なぁ、イトウって名前の同級生いたっけ？」

俺「いない！お前も知ってるか言われるの？」

「お前も？！」

それで俺らの地元のグループで話題になった。

イトウとかいうおかしな奴が俺らの知り合いだという。

この現象は俺だけではなくて、周辺の友達に波及して３人同じ体験をした奴がいた。

それも３人共が違う高校で、全く別々の友達から聞いた話だった。

「怖いな･･･。マジ、イトウって誰だよ？」