お盆に迎え火を焚いていなかったせいで
これは、バイト仲間の神田さん(仮名)から聞いた話。
あるお盆の時期、神田さんの家に交番から電話がかかってきた。
用件は、「お祖母さんが迷子になって家へ帰れないでいるので交番まで迎えに来てほしい」との事だった。
それを聞いた神田さんはビックリした。
なぜなら、お祖母さんは去年に亡くなっていたからだ。
神田さんはこの事を両親に告げると、同じようにビックリしていた。
そして少し時間が過ぎた頃、お盆なのに迎え火を焚いていなかったことに気付き、慌てて迎え火を焚いた。
その後、交番に折り返しの電話をすると、「帰り道を思い出したようで一人で帰られましたよ」と言われたそうだ。
それ以来、神田さんの家では必ずお盆の時期に迎え火と送り火をするようになったという。
怖いというより、なんだか不思議な話だった。
※迎え火と送り火
迎え火とは、戻ってくる先祖の霊が迷わないように目印として火を焚くお盆の風習。送り火とは、お盆の期間に一緒に過ごした先祖の霊を送り出す行事で、迎え火と同じように火を焚く。一般的には、迎え火は8月13日の夕方に、送り火は8月16日の夕方に行われる。
(終)