街灯に照らされたそれは骸骨だった
これは3日前の話。
その日、俺の家がある市にかなりの雹(ひょう)が降った。
終電で仕事から帰って来た俺は、玄関の周りの雹を除ける作業をしていた。
すると、夜中で人気のない家の前の道の向こうから、誰かが歩いて来た。
しかし何かおかしい。
人にしてはやけに細いのだ。
痩せすぎている。
気になって見ていたが、街灯の下に照らされてはっきり見えたそれは『骸骨』だった。
怖くて家に逃げ込みたかったが、なぜか体が動かない。
骸骨は道の真ん中を、どんどんこちらへ歩いて来る。
しかしその骸骨、左の手を腰に添え、顔を真正面に向け、歩幅は広く背筋も伸び、すごく綺麗な姿勢だ。
イメージとしては、パリコレなどのランウェイを歩くモデルのよう。
骸骨は颯爽と俺の前を通り過ぎ、しばらく行った角を曲がって消えた。
骸骨が見えなくなると体が動くようになったので、急いでその角まで走って見に行ったが、既に姿はなかった。
実は、骸骨を見たのはこれで2回目だ。
最初はまだ小学生だった頃のこと。
夕方の公園で、小高い人工の丘の上でクネクネと動く骸骨がいた。
真っ赤な夕焼けの空の下で、両腕を変な角度に曲げたり、顔の周りで手をクルクルと回したりしていた。
後年にユーチューブでとあるPVを見て気付いたが、あれはヴォーギングをやっていたのだろう。
※ヴォーギング
腕を大きく動かしながら、雑誌の表紙のようにポーズを決めたりするのが特徴のダンス。
俺は、スタイリッシュな骸骨に縁があるのかもしれない。
(終)