知らない番号からの2つの着信

今や、知り合いのほとんどが

携帯持ってる時代になりました。

 

これは、僕が浪人時代の話です。

 

当時は、ちらほら持つ人が増えてきた

時代でして、PHSが主流でした。

電話番号も9桁でした。

 

確か、年明けに9桁から10桁に

変わったような気がします。

 

みんなPメールですよ。

半角カナで。

 

テレメールなんてものも、

ありましたね。

 

まあ、そんなわけで浪人時代、

予備校で勉強しているわけです。

 

これを書きながら思い出そうと

しているのですが、

実は予備校のシステムを思い出せない。

 

確か、浪人生は普通の高校みたいに、

一コマ50分だか60分だかの授業を

朝から受けまして・・・。

 

9コマくらいあったのかなあ。

覚えてません。

 

高校生も、もちろん学校が

終わってから来ますから、

夜は8~9時まで開いてるわけです。

 

そこは食堂が開放されてまして、

そこで毎日数人の友人達と

夜まで一緒に勉強してました。

 

秋頃でしたかねえ。

着信がありました。

 

それが、見たことも無い番号なんです。

 

ぱっと見、電話番号と認識できないような

数字でした。

 

よく覚えてないんですが、

電話番号にしては桁も少なかった気がします。

 

そもそも「0」から

始まってもいなかった気がします。

 

とりあえず取ってみると、

「オギャー!オギャー!」 と、

赤ん坊の泣き声が後ろでしています。

かなりの音量で。

 

火のついたようなってのは、

ああいうのを言うんだ、くらいの大きさです。

 

それで細い女性の声がします。

「○×▲★@#%&‘#?」

 

何を言ってるか分からないんです。

ほんとに。

 

なにか疑問符っぽいのは分かるんです。

 

「もしもし?」って言っても、

「○×▲★@#%&‘#?」と。

 

おそらく同じ言葉を

繰り返しているようなんです。

 

後ろでは赤ん坊の泣き声が続いています。

「○×▲★@#%&‘#?」

 

外人って発音というか、発声というか、

違うじゃないですか。

 

どことなく、日本語に近い気もします。

「○×▲=&&?」

 

定期的にあちらからは声が聞こえます。

 

「間違えてませんか?」と言っても、

「アー○×▲★@#%&‘#?」

 

たまに、日本語のように

聞こえないでもない単語も聞こえます。

 

でもそれが 、

向こうの声が小さいから聞こえないのか ?

赤ん坊の声がうるさくて聞こえないのか?

そもそも、聞き取れる言語ではないのか?

 

分からないんです。

ほんとに。

 

それで、「間違えてますよ」って

言って切ったんです。

 

友人達に話すと、「ま、間違いだろう」

という話になったのですが、翌日、

同じくらいの時間にまたかかってきました。

 

あの番号です。

取ると、赤ん坊の泣き声がします。

 

そして、「アー○×▲★@#%&‘#?」という、

声が聞こえます。

 

ちょっと怖くなってはいましたが、

もしかしたら少し病気なのかもしれません。

 

赤ん坊がいるので、悪い男の人の所にいる

女性なのかもしれない・・・。

 

拉致とかされていて、

適当に電話をかけてるのかもしれない・・・。

 

実際にありえそうな事を鑑みて、

怒鳴ったりできない状態になりました。

 

「あなたは誰ですか?」とか、

「何か困ってるんですか?」とか

聞いても「○×▲=&&?」 と、

何かを聞いているようです。

 

会話にならないので切りました。

すると、かかって来なくなります。

 

友人達にも、その履歴は見せましたが、

みんな、そのような番号の地域は

知らないと言いました。

 

稲川氏の有名な怪談に、

「あなた~~でしょ?」という

電話の話があります。

 

当時も、その話は知ってたのですが、

そういう感じでもなさそうです。

 

あまりにも、電話の向こうの

リアルな情景が目に浮かぶのです。

 

それからは、毎日同じ時間に

電話はかかってきました。

 

一週間ほど続いたでしょうか。

ひとまず、友人に取ってもらうことにしました。

 

もしかしたら、俺だけが

理解できないのかもしれませんし。

(そんなことはありえないのですが・・・) 

 

俺の電話にかかってきている事もあり、

他人なら好き放題に言える気がしたんです。

 

今考えると、すごく変な気はしますが。

Kという友人に取ってもらいました。

 

「もしもし?」

「なんだって?」

「意味わからない事言ってる」

 

Kは続けて、

「あなたさあ、どこにかけてるの?」とか、

「何言ってるか分からない」とか、

「悪戯ならやめろ」とか、

 

強い口調で言い放ちました。

すると、「あ、切れた」と、Kは言いました。

 

それからは、その電話は

かかってこなくなりました。

 

ただの悪戯だったのかと、

思いましたね。

 

でも、もしかしたらって事が

あるかもしれないし、

悪戯にしては毎回赤ん坊は泣いてたし、

なんだろうと・・・。

 

それから、一ヶ月経ったくらいの頃、

似た番号から着信がありました。

 

でも、同じではありませんでした。

 

友人に見せてから、まあ・・・、

取ってみろという話になり電話に出ました。

 

「もしもし」

すると、

「あのー」

と、日本語が聞こえます。

 

声は男性のもので、

中年のおじさんという印象を受けました。

 

「もしもし?」 と聞くと、

そのおじさんは 、

「娘と孫がそちらにいませんか?」

と、言いました。

 

「いません、間違いです」と、

ビビリながら言って切りました。

 

それ以来、何もありません。

 

今となっては、色々と悪質な

携帯電話を使った悪戯や犯罪が増えてますし、

対処の方法はいくらでもある気がしますが。

 

当時は、あまりそんな事件もありませんでしたし、

よく分からなかったですね。

 

この2件の電話は、何か繋がりがあるのか。

それとも、全くの偶然な間違い電話なのか。

 

たまに、ふと思い出します。

 

(終)

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