押入れの中を奥へ奥へと進むと・・・
これは、私が子供の頃に弟と『宝探し』という遊びをしていた時の話。
宝探しのルールは、片方が宝物を部屋の中に隠してもう一人が探す、という簡単なもの。
ちなみに宝物は普通の鞠だった。
その時は弟が隠す番で、私は部屋のドアの前で待っていた。
あれは何だったんだろうね?
しばらくすると「もういいよ」と言われたので入って探していたのだけれど、全然見つからない。
そんなに広い部屋ではないのに・・・。
仕方なく「降参」したところ、弟は押し入れに入って行った。
押し入れなんて一番に探したんだけれど?と思っていたら、弟が「無くなっちゃった」と言った。
弟の話では、見つからないように押し入れの奥へ隠そうと、どんどん奥へ進んだ。
こんなに広かったっけ?と思ったら、突き当たりに『扉』があった。
その扉を開けたら洗面所の戸棚から出られたので、繋がっているんだと思った。
ちなみに位置的には合っているのでおかしくはなかった。
ただ、部屋の外に隠すのはルール違反だから、扉を閉めてから扉の前に宝物を置いた。
でも今取りに行ったら無かった。
どうしよう?
・・・ということらしい。
私も押し入れに入ったけれど、もちろん奥に扉なんて無かった。
そこで、洗面所に行って戸棚を開けてみた。
宝物が入っていた。
もちろん洗面所の戸棚も調べたけれど、隠し扉のようなものは無かった。
弟と「あれは何だったんだろうね?」と、20年以上経った今でも話題になる。
(終)