こちらを見てニタニタと笑う女性

怖い女

 

これは、怖いというよりは不思議な体験をした話。

 

俺が小学生の頃、『水色のワンピースを着た女性』を何度も見かけた。

 

最初に見かけたのがいつなのかは覚えていない。

 

小学3年生の頃に習字を習い始め、その初日に見かけたのを覚えているので、それ以前から見ていたんだろうとは思う。

 

ただ、俺以外には見えないらしい。

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一体、何の意味が?

その女性は現れると、いつも俺の通る道の前に立っていて、こちらを見てニタニタと笑っていた。

 

避けることができる時は別の道を通っていたが、どうしてもその道を通らないといけない時は、俯いて脇を走って通っていた。

 

通り過ぎて振り返ると、女性もこちらを振り向いていて、やはりニタニタと笑っていた。

 

いつもボタンが前に付いている薄い水色のワンピースを着ていて、年齢は30代後半くらいだと思う。

 

俺が成長するにつれて徐々に現れる頻度が減り、高校生の頃にはほとんど見ることもなくなった。

 

それから数年が経ち、俺は香織(仮名)という女性と知り合い、交際し、結婚した。

 

香織の両親は親の反対を押しきって駆け落ちしたらしく、親しい親族がほとんどいなかった。

 

そのため、俺たちの結婚式はせず、うちの両親と香織の母親(父親は故人)と兄弟だけで集まって食事会をすることになった。

 

その席上で、香織と母親から「静子伯母さん(仮名)」の名前がよくあがった。

 

静子伯母さんは唯一、駆け落ち後も連絡を取り合っていた香織の母親の姉で、香織の父親が亡くなった時も、香織の母親の癌が見つかって手術や入院をした時も、大変お世話になったらしい。

 

ただ、俺と知り合う少し前に本人も癌が見つかり、わずか数ヶ月で亡くなってしまったとのこと。

 

俺は香織と一緒に暮らし始めてから、何かのきっかけでアルバムを見せてもらった。

 

その時に見せられた静子伯母さんの写真を見ると、幼い時に見ていたあの『水色のワンピースを着た女性』だった。

 

服は違っていたが、驚いて香織にそのことを話すと、「もしかして、こういう服?」とアルバムをめくって、あのワンピースを着た伯母さんの写真を出してきた。

 

なんでも、伯母さんがとても気に入っていた服らしく、自分の手作りらしい。

 

ただ、俺が小学3年生の頃なら、まだ伯母さんは20代後半のはずで、伯母さんが亡くなったのは40代後半。

 

俺が見かけた伯母さんは30代後半くらいで、香織の持っている写真を見ても、それくらいの時期に撮られた写真で、髪型などを含めて「まさにそれ!」という感じだった。

 

なぜ亡くなった40代の姿でも当時の20代の姿でもなく、中途半端な年齢の姿で俺の前に現れたのか、よくわからない。

 

それに、あの気持ち悪いニタニタと笑う顔に一体何の意味があったんだろう、と今でも気になっている。

 

写真で見る限り、とても温厚で良い人そうで、実際に両親の反対を押しきって駆け落ちした妹の面倒を常に見るくらいだ。

 

なのに、俺の前に現れた伯母さんは、『ものすごく気持ち悪い人』という印象しかない。

 

何か意味があるのだろうか。

 

(終)

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