山の神様にフラれちゃった?

山

 

これは不思議でもあり、大人になった今でも腑に落ちない子供の頃の話。

 

叔母さんの家には二人の子供がいた。(叔母さんは私の母の妹)

 

長女は、おてんば。

 

次女は、大人しめ。

 

私は、おてんばな長女(従姉)と気が合っていた。

 

学校が夏休み等の時には叔母さんの家に長期滞在していたので、二人とも真っ黒になって裏山で遊んでいた。

 

大人しい従妹は、3回に1回ぐらいだけ一緒に付いて来ていた。

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記憶と現実の相違

ある時のこと、叔母さんが子供部屋に入ると、私と従姉は大人しく家の中で遊んでいたそう。

 

そして、「今日は山の方に行かないの?」と叔母さんが聞くと、「うん、今日は家でいいや」と、いつになく消極的な私と従姉。

 

その夏はずっと叔母さんの家にいる間、私と従姉は家で遊ぶか、公園で遊ぶか、近所の川で遊ぶかしていて、なぜか裏山では遊ばなかったという。

 

不思議に思った叔母さんは、「どうして山で遊ばないの?」と聞くと、私と従姉の返事がこうだったそう。

 

「えー、だってー」

 

「もう、行けないよね」

 

「フラれちゃったもんね」

 

「しょうがないよ」

 

叔母は、一緒に遊んでいた男の子とケンカでもしたのかと思ったそう。

 

でも、そんなことはない。

 

私と従姉は、いつも女の子同士だけで楽しく遊んでいた記憶しかない。

 

当人たちは特に意識することもなく、それっきり私と従姉は裏山の奥に入り込んで遊ぶことは二度となかった。

 

うちの両親や叔母さんは、「中学生になったから少しは落ち着いたのかな」と思っていたそうだけれど。

 

やがて私たちも成長し、大人しかった従妹が私たち三人の中では真っ先に結婚して、旦那さんは婿養子になり、今は二人で山やお寺の管理をしている。

 

その後、私と従姉も結婚したけれど、ずっと山とは縁のない所に住んでいる。

 

もしかして私たちおてんば組は、あの山の神様にフラれたってことなのかな?

 

それに山の神様も、やはり女らしい子が好みだったということなのかな?

 

あとがき

どうして山に遊びに行かなくなったのか?

 

何があったとか、アレがあったとか、これには本当に思い当たる理由がない。

 

小学6年生の頃だったので、それなりにおませになっただけかもしれないけれど。

 

それに、母も山の神様にフラれたクチらしい。

 

なんでも、大きな木の上から紐の付いたザルを垂らして親におやつをねだっていた、という超おてんば女の子だったそうで。

 

母は長女ということもあって、名前は後継ぎにふさわしく・・・と山寺のお坊さんにわざわざ名付けしてもらったのに、どういうわけか大人しめな妹の方(叔母さん)がお婿さんを迎えて、いつの間にか跡取りになっていたという。

 

ただ、母本人は「気楽で良いわ~」とサバサバしているけれど。

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