職員室に一週間ほど缶詰にされた時のこと
これは、少し不気味でよくわからない体験をした話。
私が中学生の時、一週間ほど授業がなかったことがあった。
その間の部活も休みになった。
そして何故か私一人だけ、職員室で資料プリントの整理を手伝わされたりしていた。
その一週間は登校しても、私はほぼ職員室に缶詰状態。
他のクラスメイトは教室で自習。
「なんで自分だけ?」と思わなかったわけではないけれど、普段からよく先生に頼まれ事をされたりしていたので、特に気にしていなかった。
そんな出来事からしばらくして、母が保護者全員出席のPTAの会合から帰ってきてすぐ、私にこう聞いてきた。
「知ってた?」と。
なんでも、クラス全員が万引していたそうで。
授業も部活もなかったのは、その行為の指導のためだったとか。
学区から少し離れたショッピングセンターで集団万引していたらしい。
私以外で。
全然気づかなかった。
というより、クラス全員で出掛けていたのも知らなかった。
決してクラスに友達がいなかったわけではないのに。
その後の学校生活は、これといってギクシャクもしなかった。
そして中学校を卒業して10年以上が過ぎた頃、集団被害が出る『経済詐欺事件』が起こった。
被害者の多くが若いインテリ層。
私は仕事の関係で、その被害者リストを目にすることに。
そこにあったのは、中学時代のクラスメイト達の名前だった。
被害者から直接話を聞く機会もあったけれど、名刺を渡しても誰一人として私には気づかなかった。
地元を離れたわけでも、苗字が変わったわけでもない私に。
元クラスメイトかつ被害者のみんなは、こんなことを言っていた。
「中学の時の友人達みんなに勧めたんですよ。クラスメイト全員かな」
「みんな昔からの付き合いで信頼してるんで」
「友達みんなやってるなら間違いないかなって」
ただ、みんなが帰った後、私のボールペンが消えていた。
(終)