執拗に迫り続けるクラスメイト
今から40年ほど前、
まだ中学生だった時のこと。
その頃の女子たちは、
仲良し同志でお弁当を一緒に食べたり、
トイレまで一緒に行く風潮があった。
私はマイペースな人間だったので、
休み時間は太宰やゲーテ、
ラーマーヤナを夢中で読んでいた。
私は気ままに休憩時間を楽しんでいるのに、
ある日、同じクラスの女子から手紙が・・・
しつこく付きまとう彼女が怖い・・・
『あなたは孤独ね。
私も孤独なの。
孤独な者同士、
お友達になりましょう』
うっとうしいと思った私はすぐ、
「自分は好きなようにやってるんで
構わないでください」
と、お友達拒否宣言。
だけど、降るように送られる便せんに、
びっしりと書かれた手紙。
そして、
行く先々に私を見ている彼女の影。
ずっと無視していると、
「あなたが私に答えないのは、
何かに圧力を受けているから。
私たちはこの世を救うべく、
○○の命を受けて・・・(以下省略)」
その頃、時を同じくして、
私の上履きに詰められる泥やガラス片。
早朝の張り込みで、
誰がやるのかを確認した。
案の定、彼女の仕業。
泥バケツを持って軍手をしている彼女は、
「私じゃない!」と泣きじゃくる。
玄関に駆けつける先生に連れられて、
私達は校長室へ。
私達の言い分をそれぞれ聞いて、
校長は言う。
「仲良くしなきゃいけません。
ケンカ両成敗です。
さあ、二人とも握手して。
あなたも意地を張らないで、
お弁当ぐらい一緒に食べよう」
その時、彼女と握手した感触が、
パサパサに乾いた手の平だった。
まるで、蛇と握手しているみたい・・・
と思ったのが忘れられない。
そのすぐ後のことだった。
彼女の家が火事に。
彼女はすぐどこかへ引っ越してしまった。
私は正直ほっとした。
そして先日・・・
彼女の姿を同窓会で見かけて、
当時の恐怖が蘇ってしまった。
「あら、お懐かしい。
また前のように仲良くしたいわ」
と彼女は笑っていた。
(終)
校長がクズ。
生きてる人間が一番怖い