追われ殺されるまで続く悪夢
私は昔、同じ悪夢を
毎日のように見ていました。
夢は、私とそれ以外の大勢の人が、
アイスピックを持った男性に
追いかけられる。
そして捕まると、耳の穴に
それを突き刺されるという夢です。
男は夢に出ると、
必ず誰かをそうやって殺します。
しかし、一人だけしか殺さず、
また犠牲となった人は、
それ以降は夢に出ません。
運良く逃れられた人は、
次も夢に出ます。
そして男に殺されるまで、
夢から決して
退場することはありません。
私は陸上部で、
夢の中でもそれが反映され、
男から逃げることが出来ました。
が、ある日、
部活の練習中に転んでしまい、
軽く足を捻ってしまいました。
走れるには走れるのですが、
痛くて上手く走れません。
私はこの日、
男が夢に出ないことを祈りましたが、
男はまた現れました。
一箇所に固まっていた
私と他の人たちは、
男の出現と同時に逃げ出し、
私だけが足を引きずるように逃げました。
男はそれを目ざとく見つけ、
私を狙い始めます。
いつもなら引き離せるのですが、
捻った足では追いつかれるばかりです。
殺されたら私はどうなるんだろう・・・
と、恐怖を感じながら、
男のアイスピックが私の耳を貫き、
その後、滅多刺しにされました。
でも、痛みはありません。
「やっぱりこれは、
ただの夢だったんだ!」
と安心して、
そのまま夢が覚めるのを待ちました。
目が覚めると、
私はちゃんと生きてました。
ただ脂汗が酷く、
シャワーを浴びに行こうと
部屋の明かりをつけると、
あるものが目に入ります。
それは何かに滅多刺しにされ、
耳を鋭利なもので貫かれた
ヌイグルミでした。
そのヌイグルミは私のお気に入りで、
いつも一緒に寝ています。
もしかしたら私の身代わりに
なってくてたのでしょうか?
そのヌイグルミは今は修復し、
今でも大切に持っています。
(終)