幼児が発した声

俺は今は健康体そのものだけど、

小さい頃は凄く体が弱かったらしい。

 

1~2歳の頃に、

原因不明だけど高熱が出て、

何日も昏睡状態になった。

 

ある日、昏睡が解け、

熱も下がり親も安心した。

 

その日の晩に、

俺が寝付いたかどうか親が見に来たら、

俺は発作を起こしていた。

 

「○○ちゃん!大丈夫!?しっかり!」

 

親が呼びかけても、

俺は何の返事もしなかった。

 

少しして発作は治まり、

親も一安心。

 

しかし、俺がハァハァ言いながら、

何かつぶやいているらしい。

 

親は、「なに?」と俺に聞く。

俺は黙っている。

 

俺の呼吸は次第に荒くなり、

最高潮に達したとき、

 

「お前らのせいだ!」

 

と、震え上がるほどの大声で叫び、

白目を向いて、ぐったりした。

 

しばらくして、

俺の呼吸が止まっていることに

親は気付き、

救急車を呼び病院に運ばれ、

一命は取り留めた。

 

まだ言葉も儘ならなかった時期なのに、

そう叫んだときは、

一字一句はっきりとした声だったらしい。

 

またその声の大きさも、

尋常ではなかったらしい。

 

病気の原因は未だに分からない。

 

(終)

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