世界一だと自負する物知りな男
俺は物知りな男だ。
特に有名な人名などは、
世界一だと自負している。
そして今日は学校で、
友達に織田信長という人物を
知っているか聞いてみた。
「は?誰?」
やはり難しかったかな。
先生にも聞いてみた。
「ん?誰だね?」
学校が終わり、
彼女にも聞いてみた。
「いやいや、誰?だし」
やはり難しすぎたのか。
でも俺の尊敬する両親なら
知っているはずだ。
家に帰って聞いてみた。
「あの・・・誰ですか?」
誰も知らないみたいだ。
(終)
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解説
織田信長が生まれる前の時代に、
未来を予知して質問している。
・・・と思わず答えそうだが、
実はそうではない。
最後の両親とのやり取りがヒント。
友達も先生も彼女も両親も、
みんなが『誰?』と答えている。
これは「織田信長=誰?」ではなく、
語り手の『俺=誰?』である。
みんなが俺のことを知らず、
すべては俺の妄想である。
もしくは、
俺の存在が忘れられている・・・。
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