仕事を休んだ日は自殺者がいる
これは、私の母がゴルフ場でキャディの仕事をやっていた頃の話。
当時はバブル真っ最中だった為、頂くチップやお土産も多かった。
また芸能人もよく来る場所だったそうなので、あの人は本当に良い人とか、この人は最悪だったとか、今でもよく言っている。
そんな状況だったこともあり、母はほとんど仕事を休まずに働いていた。
今では考えられないが、チップだけで日に2~3万円も稼げていた時代だったそうな。
しかし、知っての通りバブルは弾けて、客も少しずつ減っていった。
それでも日給は良かったし、職場は家からも近く、当たりの客ならチップも弾んでいたので働き続けていた。
が、そんな母でも仕事を休んで寝込む時があった。
そして、その日はゴルフ場で首を吊っている人がいる日だ!
最初は偶然どころか関係性もなかったと思われていたが、そんなことが二度三度と続いた。
その頃から、「母が休んでいる日は自殺者がいるんじゃないか?」と噂になった。
母がキャディの仕事を辞めるまで、毎年のようにそんなことが数回続いた。
母曰く、「本当に不思議なくらい、ゴルフ場に自殺者がいると近づけなかった」と。
自殺者の大半は遠くから来ている人だったそうだが、「わざわざゴルフ場で死ななくても・・・」と愚痴を言っていた。
もしかすると、自殺する人は人生で一番楽しかった場所に行ってから死ぬものなんだろうか?
(終)