駅で絡んできた老婆の恩返し
霊がアピールに利用するのは、何も虫だけではないようだ。
これは、人から聞いた話。
ある日の朝、工藤さん(仮名)が電車に乗ろうとした時に、駅で見知らぬお婆さんに声をかけられた。
ところが、お婆さんとの会話は何とも意味不明なもので、工藤さんは話の途中でこのお婆さんを痴呆気味の老人かと思い始めていた。
しかも、工藤さんは仕事に行かなければならず、早く行こうとするのだが、お婆さんは苛立つほどぐずって行かせてくれない。
そうこうしているうちに、お婆さんは「これで借りは返しましたよ」というようなことを言って、ようやく離れて行った。
しかし、工藤さんはいつも乗るはずの電車に乗り損ねてしまった。
・・・が、その乗るはずだった電車が実は、あの『福知山線の脱線事故の電車』だったという。
※参考|JR福知山線脱線事故
2005年(平成17年)4月25日に西日本旅客鉄道(JR西日本)の福知山線(JR宝塚線)塚口駅 – 尼崎駅間で発生した列車脱線事故である。乗客と運転士合わせて107名が死亡、562名が負傷した。(Wikipediaより引用)
このお婆さんの存在を何とみるか?
工藤さんの守護霊が利用しただけなのか、それとも前世で助けた人の生まれ変わりなのか、実のところは分からない。
ただ、工藤さんは変な老婆に絡まれたおかげで、事故に直接巻き込まれなくて済んだ。
それだけは事実だという。
(終)