遺体の傍には魔除けの為に刃物を
これは、曽祖母(母方の祖母の母)の葬式の日に親戚(母の従姉妹)から教えてもらった言い伝えのような話です。
曽祖母の遺体の傍には鉈(なた)が置いてあり、私は不思議に思って親戚に聞いたのです。
以下は、親戚が生前の曽祖母から聞いた話になります。
空いた身体に悪いモノが憑く
曽祖母の親戚が亡くなった時、曽祖母が線香をあげようとしたら遺体が動いたそうです。
曽祖母はパニックになって母を呼ぶと、母が母屋のようなところから鉈を持って来ました。
すると、動いた遺体がピタッと止まったと言います。
なんでも、曽祖母の住んでいるところでは時々こういうことが起きていて、もしもの為、そして魔除けの為に刃物や鉈を遺体の傍に置いておくそうです。
「生きていたんじゃないの?」と疑問を抱く人もいると思いますが、確実に冷たくなって心臓も止まっていたそうで、「死人がまた生き返った!」だとか、「首を絞められた!」ということもあったそうです。
その為に曽祖母は、「自分の遺体の傍には鉈を置いておくように」と生前に言っていたそうです。
この話は祖母や祖母の兄妹も知っていたそうで、なぜ鉈なのかは分かりませんが、そういった風習のような言い伝えもあるそうです。
ちなみに場所は、山奥にある過疎地域です。
補足
件の話、どうやら地域によって刃物の種類が違うようです。
「釘」を置くところもあるので、刃物というよりは「尖った金物」なのでしょう。
中国地方だと、棺の上に「剃刀」を置くそうです。
京都の山奥の場合では、仏さんの寝ているお布団の胸の辺りに「白木の小刀」を置いているのだとか。(猫がまたぐといけないからという理由らしいのですが・・・)
ちなみに、これらの刃物のことを一般的には『守り刀』と呼ばれています。
遺体の傍に刃物を置く行為は、「空いた身体に悪いモノが憑いて動くことがあるから」だそうです。
余談ですが、怖い夢を見た時にも、昔の人はよく「枕の下に断ち切りバサミを置いて寝なさい」と言う人も多くいます。
(終)