家を周るように窓を叩く音が続いた夜

海沿いの家

 

これは、深夜に家で恐怖の体験をした話です。

 

当時は親の仕事の都合で、夜は一人で過ごすことがほとんどでした。

 

家は国道沿いにあっても、国道の向こうは海。

 

田舎なので、夜は人気が全くと言っていいほどありません。

 

その夜もいつものように猫をモフモフしながら、居間のテレビで深夜番組を見ていました。

 

すると、国道に面した居間の窓から「コンコン」と、ノックのような音が聞こえました。

 

少し風が強かったこともあり、気にせずそのままテレビを見ていました。

 

けれど、今度は隣の部屋の窓からコンコンと聞こえます。

 

数分後、玄関からコンコン。

 

そしてその音は勝手口、台所の窓と続いていき、“まるで家の周りを回っているような感じ”でした。

 

それでもあまり気にせずにいたのですが、再び居間の窓がコンコンと…。

 

そこからペースが上がり、また一周、また一周と、家の外をグルグルと回っていました。

 

さすがに風ではないだろうと思い、すりガラスの引き戸になっている玄関を少し覗いてみました。

 

コンコン。

 

玄関の戸から音は聞こえるのですが、誰もいません。

 

そのまま玄関の戸のすりガラス越しから外を見ながら、一周してくるのを待ってみました。

 

コンコン。

 

やっぱり何も見えません。

 

さすがに怖くなり、急いで居間に戻りました。

 

居間にいた猫も、どこか落ち着かない様子。

 

その後もしばらくは、コンコン、コンコン、コンコンと家の周りを回っています。

 

私は声も出せず、とうとう固まってしまいました。

 

けれど、このまま居間にいてはマズイような気がして、2階の自分の部屋へ逃げようと猫を抱えました。

 

ただ2階へ上がる階段は、玄関を横切らなければ行けません。

 

なので、玄関の次の勝手口のノックが聞こえた瞬間、部屋まで猛ダッシュしました。

 

明かりも点けず、自室で猫を抱いたまま耳を澄ましていました。

 

コンコン、コンコン、コンコン、コンコン。

 

まだ家の周りを何かがグルグルと回っています。

 

今度は2階の部屋の窓から下を覗いてみました。

 

部屋は居間の真上なので、もし誰かいれば見えるはず。

 

でもやっぱり誰もいません…。

 

コンコン、コンコン。

 

音は聞こえるのに、誰もいません。

 

いよいよ私はパニック寸前。

 

猫もフーフーと唸り始めました。

 

幽霊か人間か、何者なのかわからないけれど、早くどこかへ行ってくれと涙目に。

 

しばらくすると、またゆっくりとコンコン、コンコンと回り始め、少しだけ静かになりました。

 

猫も落ち着いてきたので、もう寝ようとベッドに入ろうとした瞬間、コンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコン。

 

一斉に1階の全ての窓を叩くような音がしました。

 

猫は毛を逆立てながらまた唸っています。

 

何!?このありがちな展開と思いながらも、布団に潜り込み、恐怖で涙が出てきました。

 

しまいには、ドンドンッ!ドンドンッ!と強く叩き始めます。

 

私は無意識に、「うわぁああ!何なの!もう無理だから帰って!お願い、お願いだから…」と小さく呟いていました。

 

どれほど時間が経ったかわかりませんが、いつの間にか窓を叩く音も聞こえなくなり、明け方にようやく母が帰ってきました。

 

この現象はこれ以降なかったのですが、一体あれは何だったのでしょうか。

 

誰かのイタズラなのか、はたまた海から来た者か、霊現象なのか、全くわかりません。

 

(終)

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