そこで野宿する女性は化け物に襲われる
※この話には性的な描写が含まれています
これは、知り合いから聞いた話。
彼の実家の山には、その昔『クサマラ』と呼ばれた化け物が出ていたそうだ。
当時そこは実家の土地ではなかったらしいが、“そこの山道で野宿をすると、この怪に襲われてしまう”ということだった。
ただし、大人の女性限定。
被害者の話では、丈の高い草むらがガサガサと揺れると、姿の見えない何かがそこから飛び出してきて、あっという間に押し倒されてしまい、あんな事やこんな事をウリャウリャされてしまったそうだ。
しかし何故か、クサマラを責めたり恨んだりする者はいなかったらしい。
「テクニシャンだったのかどうか知らないが、まぁ、性に関しては大らかな時代だったんだろう。
しかしあまりに噂が広まったんで、地元で風聞が悪いという話になってしまい、結局うちの先祖がそこの山を買うことになったんだ。※風聞=噂
で、新しく道を作ってから、クサマラの出る山道は使えなくした。
それからは、不埒なマラさんは出なくなったということだよ」
苦笑いしながら、彼はこの話を聞かせてくれた。
聞いていた私も苦笑いしていたと思う。
(終)